会計とは何かを歴史や雑学も交えて簡単に表してみる|財務会計と管理会計についても解説
早速ですが会計とはなんでしょう?ちょっと考えてみてください。全然外れてもいいですよ。
帳簿付け(簿記)?経理?勘定?お金の支払い?挙げれば色々出てくるかもしれません。
家計も会計の1種かもしれません。家庭でも収支の計算をしないとお金がなくなって生活できなくなってしまいます。
会計とは何か?に正解はないのかもしれません。学者や専門家によって違うかもしれません。私の場合は、会計とは簡単に言うと儲けを把握することだと考えています。あくまでも私の意見ですが。
今回は会計や簿記の勉強初心者の方を対象としており、会計とは何ぞや?を周囲の人に語れるくらいにイメージが持てるようになっていただくことを目指しています。
会計は難しい、会計は解らないという方向けに、会計にまつわる雑学を解説することで、会計に慣れ親しんでいただきたいと考えています。
難しい計算式や理屈は書きません、雑学を通して簡単にイメージを掴んでいただきます。専門書というより一般書のイメージですね。
それでは行きましょう!
まずは会計の勉強方法
ここで最初に断っておきます。会計を学ぶときは理論や理解に固執し過ぎないでください。
会計は自然科学ではありません。商人たちが人類の長い歴史の中で、よりよい儲けの把握方法を追求して作ってきたものです。
だから会計の勉強は理解から入るのではなく、数学の公式と計算問題のように数をこなして慣れてください。私は理解に固執してつまづき、会計が解るようになるまで3年くらいかかりました。
会計とは何かという一般論
まずは会計について色々と書いていきましょう。ここは会計に馴染んでいただくための雑学的な話です。
会計って思ったよりは簡単かもと思っていただけるよう、ちょっとでも会計に親近感を持っていただけると嬉しいです。
会計の歴史
人類は古代から商売をしています。ネアンデルタール人は我々ホモサピエンスよりも体格も脳も大きかったそうです。しかしそれでもネアンデルタール人は滅びました。その理由の一つとして、ホモサピエンスが交換経済を発展させたことがあるそうです。
これはさておき、人類は商売をして生きてきたので、商売の損得を図る必要もあったはずです。ちなみに現代で一般的な複式簿記は15世紀末のベネツィアで生み出されたと考えられています。
英語では会計は説明責任
英語では会計はaccountingと言います。説明という意味です。会計には説明責任があるのです。
これは私の考えなのですが、会計が英語で説明責任である理由は大航海時代にルーツがあると考えています。
当時は事業者とは別に出資者が現れた時代です。航海をすれば大儲けできる。でも商人には大きな船や船乗り、そして貿易のための商品を用意するお金がありません。一方でお金持ちは自分が長い航海や貿易をする技術を持ちません。
そこで航海をしたい人たちにお金持ちが出資するという形が取られました。商人は出資者のお金で貿易を行ないます。そして儲けのいくらかを出資者に返します。Give and Takeですね。
この場合、商人は出資者に儲けを報告しなければいけません。持ち逃げなど言語道断ですからね。ここから説明責任が出てきたのではないかと私は考えています。
会計には財務会計と管理会計がある
さてさて、ようやく本題に入っていきます。ちょっと脇道にそれ過ぎましたね。
会計は大きく分けて財務会計と管理会計があります。まずはこれを覚えておきましょう。
財務会計は一般的な表現で言うと帳簿付けや勘定、決算などが該当します。会社の儲けを把握して、会社の関係者に報告するのが財務会計です。
管理会計は経営者や管理職向けの会計です。会社の儲けを把握して経営者や管理職の意思決定(何をして、何をしないかなど)に役立てるのが管理会計です。
財務会計と管理会計以外にも連結会計もある
ちなみに連結会計と呼ばれるものもありますが、こちらは財務会計に含まれます。
連結会計とは企業のグループを1つの会社と見たてた会計です。今ではM&Aや新設により子会社を持つことは普通になっています。
そしてグループ会社間での取引も行われます。例えば生産を担当するグループ会社と販売を担当するグループ会社がある場合もあります。
私がかつて連結会計の仕事をしたホールディングスは、カーディーラー、メンテナンス屋、車の卸売り、レンタカーなどの会社を持っていました。
このようにグループで役割分担して事業を行う経営が一般化しているため、グループを1社と見立てた会計も必要になっています。
財務会計とは
では財務会計について見ていきましょう。
財務会計はステークホルダーに儲けを報告するもの
財務会計はステークホルダー(関係者)に儲けを報告する会計です。最終的には決算書を作成してステークホルダーに報告します。そして儲けである利益に応じた税金を政府に払います。
そのために日々の取引を帳簿に記録します。帳簿への記入は、仕訳というものを記録することで行います。そして仕訳を勘定科目毎に集計し、決算書作成を行ないます。
会社のステークホルダーたち
ステークホルダーという言葉が出てきました。ところで会社の関係者とはどんな人たちでしょうか?ちょっと考えてみてください。全然外れてもいいですので。
ヒントは会社が儲かっているかどうか知っておきたい人たちです。もっというと会社が赤字じゃ困る人たちです。
会社と関わっている人は意外と多いものです。そして会社が赤字ではまずい人はとても多いものです。
いかがでしょうか?十人十色の答えが出てくるかもしれませんね。
それでは正解を発表しましょう。大体この通りで網羅できていると思います。専門家によってはここに付け加えるステークホルダーがいるかも解りませんが。
ステークホルダーは会社の儲けを把握する必要がある
従業員に決算書を公開する会社は少ないですね。上場企業勤務の方なら自社の決算書を見れますが。
しかし従業員が決算書を見る機会が少ないといっても、従業員にとっては会社の業績はとても重要です。業績が傾けば給料やボーナスが減りますし、最悪の場合はリストラや倒産が起きるかもしれません。
取引先の経営者からしたら業績は気になります。赤字企業とは進んで取引したくないですよね?一般的には取引開始に当たって、業績の安全性を帝国データバンクなどのデータで確認します。専門用語で与信調査と呼びます。
つまり取引開始に当たって、取引先に業績をチェックされるのが普通なのです。ちなみに金融機関から仕事を受注する場合は、決算書の提出を求められることもあります。
株や社債を買いたい投資家もステークホルダーです。一般的には赤字の会社の株や社債を買いたいとは思わないでしょう。
銀行も赤字の会社には、黒字化できる見込みがなければお金を貸したくないものです。もちろん融資の審査には決算書が必須です。
ちなみに決算書の読み方や分析方法についても、当ブログでは解説しています。是非読んでみてください。
管理会計とは
それでは管理会計の解説に移りましょう。
管理会計は経営者や管理職が意思決定を行うための情報を提供する会計です。財務会計は主に外部のステークホルダー向けでしたが、管理会計は内部の人向けです。
管理会計の例
管理会計はこれと決まっているわけではありません。会社の戦略・事業・業務に合わせて、欲しい情報を決めたりします。一例を挙げましょう。
- 店舗別/商品別/部門別/地域別などの売上
- 個々人への売上の配分(業績評価に使います)
- 顧客満足度などの目標値の設定
- 社内取引(部門/店舗間で売買したことにする)
- 原価管理
- 投資対効果の計算
挙げると色々出てくるものです。上記に挙げた顧客満足度などの目標値はKPI(Key Performance Indicator、重要業績指標)と呼びます。
社内取引は社内の部署間や店舗間の取引のことです。銀行などでは本支店取引が行われています。有名な社内取引の例は京セラのアメーバ経営ですね。
また銀行などはリスク管理も管理会計として行っています。
管理会計の活用例
例えばあなたがお店をやっていると仮定しましょう。お店を儲けさせたいと思ったら何をしますか?色々あると思いますが、売れてる商品の仕入れを増やして、もっと売ると考える方は少なくないでしょう。
ここで必要なのが管理会計です。日々の販売記録から、商品毎に売上高を集計すれば、売れてる商品が解ります。
POSを使っているのなら、CSV(Comma Separated Value、カンマ区切りのファイル)でデータを出力してExcelに取り込み、ピボットテーブルを使えば集計できます。
管理会計にはこのような商品や店舗などの観点別の売上高や、損益分岐点分析、原価管理などがあります。当ブログでも解説していますので、是非読んでみてください。
まずは原価管理です。コストの予定と実績の差異を分析し、想定以下にコストが収まっているか、収まっていなければ何が原因かを分析します。
続いて損益分岐点分析です。どれくらい稼げば採算が取れるのかを分析する方法です。事業や製品を新たに作ったら必須になる知識です。
管理会計のお勧め書籍
管理会計はとても広いです。先ほど書いたように経営者や管理職にとってとても役立つ知識です。
私が今まで色々読んだ中で、特に気に入っている書籍を紹介します。どちらもヒットした書籍で、経営のために管理会計をどう活用するかという観点で書かれています。管理会計の有効性が解る書籍です。
餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? 読むだけで「会計センス」が身につく本! (PHP文庫) [ 林總 ]
美容院と1,000円カットでは、どちらが儲かるか? できるビジネスパーソンになるための管理会計入門! [ 林総 ]
終わりに
随分と長くなってしまいました。会計のイメージが少しはつかめたでしょうか?
最後に整理しましょう。会計とは何ぞや?というと、簡単にいえば儲けを把握することです。そして会計には財務会計と管理会計があります。
財務会計は会社の関係者に会社のもうけを報告するためのもの。そのために日々の取引を帳簿に記録して決算書を作ります。
管理会計は経営者や管理職が儲けを把握して、より儲けるために使うものです。だから店舗別や商品別の売上などを管理します。