新人マネージャーが問題解決力と決断力を向上するための方法
マネジメントをやっていると、正解がない中で決断をしなければいけません。また仕事をしていれば問題が必ず起きます。
決めることと問題を解決することはマネージャーにとって大事な仕事でもあり、悩ましい仕事でもあります。私もマネジメントをやり始めたばかりの頃は、どう決めていいのか悩んだものです。
今回は問題解決と決断力というテーマで、管理職やプロジェクトマネージャーになったばかりの方向けの解説記事を書きます。
少しでもマネジメントに慣れていただきつつ、みなさんの仕事の悩みを解消できれば幸いです。
問題解決のプロセス
問題解決力を高めよう
仕事では色々な問題が日々発生します。マネージャーはこれらの問題に対処しなければいけません。
よってマネージャーは問題解決力を高めた方がよいということになります。
幸いにも問題解決の本は沢山出回っていますし、私もかつて何冊も読みました。定番のグロービスからも出ています。
グロービスMBA集中講義 [実況]ロジカルシンキング教室 [ グロービス ]
また私が昔、日経Systemsで読んだ連載の著者も本を出しています。もう10年も前なので詳細は思い出せませんが、専門誌の枠を超えて仕事全般に役立つような解説をしていたと記憶しています。
プロの課題設定力 問題解決力より重要なビジネスリーダーのスキル [ 清水久三子 ]
問題解決にはプロセスがある
問題解決にはプロセスがあります。定義→情報収集→解決策立案です。
問題が起きた場合、まずは何が問題なのかを定義しましょう。まずは簡単な例題から行きます。
例えば今日が11/1だとします。11/23にイベントがあって、お好み焼きを作って売るとします。しかし11/20になっても注文していたソースが納入されないとします。
やりたいことはお好み焼きを作ることで、問題は注文していたソースが納入れないことです。
そしたらなぜ納入されないのか情報収集をしましょう。発注先の業者に問い合わせるのが一番いいですよね。問い合わせるに当たって、業者の連絡先と注文番号が必要です。連絡先はメールやホームページ、注文番号はメールや書類を調べましょう。
発注先の業者に問い合わせた結果、繁忙期で出荷が遅れているとしましょう。もう3営業日待てば、つまり11/23になれば出荷手続きができるとのことです。
イベント当日は11/23ですので、11/23出荷で到着はおそらく11/24~11/25では間に合いません。注文をキャンセルできるならキャンセルして、ソースだけ近所のスーパーで買ってくるしかありません。
つまり解決策はソースの注文をキャンセルして、近所のスーパーでソースを調達するとなります。
この場合は問題が解りやすいので、大変なのは情報収集になります。
データ駆動のアプローチ
データに基づくことのメリットは客観性
近年になってマッキンゼーがデータドリブン経営という取り組みを顧客企業に導入し始めました。またデータサイエンスが広まったことで、データに基づく意思決定が広まってきました。
一般的にはKKD(経験・勘・度胸)というものが広まっています。しかしこれは属人性が強く、また根性論にもなりやすいため危険です。
データに基づくことで、より合理的で客観的な意思決定が可能になります。
データに基づくやり方で成功した例は探せばあるでしょう。ワークマンは近年になって、Excelを活用してデータに基づく意思決定を導入したそうです。
データに基づく意思決定で私が好きな事例は獺祭です。酒造りは職人の経験と勘に依存しますが、それを止めて普通の会社員が反復型開発、データに基づく意思決定、標準化で酒造りを行っているのが獺祭です。noteに記事を書いていますので、興味がある方は読んでみてください。
データに基づく説明で助かるのは自分ではなく相手
私も経験や勘を使うことがあります。特に直観は経営者のインタビューでもよく出てくる言葉で、これがよく当たります。
しかし他人に説明するときは、データの方がいいです。ログにこう出力されていたのでシステムではこういう事象が起きている、これくらいの工数でできて利用頻度はこれくらだから投資対効果が良くないなどです。
メンバー相手など身内なら、ここまでデータや数字を揃える必要はないでしょう。
しかし顧客相手の場合、顧客担当者が上司や社内の人たちに説明する必要があります。データや数字でこう考えられる、こういう選択をした方がいいと言った方が、顧客担当者が上司や社内の人に説明しやすいのです。
自分の上司に説明する場合も同様でしょう。上司が会社の上層部や他部署の管理職に説明する際にも、顧客の場合と同様に説得力が必要です。そんなときデータや数字で説明された資料があれば役立つでしょう。
リスク評価と管理
リスクにはプラスもマイナスもある
問題解決と決断にはリスクを伴います。マネジメントをしていく上でリスクは必ず発生し、リスクを避けることはできません。
よってリスクを正しく理解することで、不測の事態にも迅速かつ効果的に対応できます。
マネジメントにおいて、リスクとは想定外のことを指します。つまりリスクには良いことも悪いこともあります。
しかし残念ながら良いリスクよりも悪いリスクの方がよく起きます。もちろん良いリスクがラッキーとして発生することはありますが、そんなことを期待するマネジメントではギャンブルと変わりません。
悪いリスクを意識して仕事を進めていきましょう。
リスクの例
例えば祭りのためにおにぎりを100個作らなければいけないとしましょう。
良いリスクとは、おにぎりを作ってくれる人が突如現れて、20個作ってくれるということです。
悪いリスクとは、おにぎりを作る人が体調不良で休む、必要な数が20個増える、必要な具の種類が増える、材料が途中で不足して買い出しが必要になるなどです。
仕事をしていればこのような想定外は普通に起こることはよくご存じでしょう。起こり得そうなことを事前に想定して対策を取っておくのです。これがリスク管理です。
リスクの評価と管理を行う
リスクなんて起きてから考えればいいという意見もあります。起きていないにも関わらず準備しても無駄だと。
しかしそれではいざリスクが発生したら慌てることになります。そして想定外の作業やコストが発生し、結局残業で補う羽目になることも多いです。
よってマネージャーはリスクを意識して、リスク管理をしっかりやらなければいけません。
リスクを洗い出し、それぞれのリスクの影響と発生率、対策を検討します。そして事前に対策を取っておきます。
またどんな選択肢を取るにしてもリスクが発生しうることに気を付けなければいけません。仕事をしていれば追加で必要な作業が発生します。その都度どうするかを検討するわけですが、そこで選択肢毎のリスクを考える必要もあります。
しかしここでリスクリスクとうるさく書いてしまうと、気が滅入ってしまうかもしれません。まずはどんなリスクが起きそうかを、タスク毎に考えてみましょう。
リスク意識は残業時間に大きく影響します。リスクに対する意識を持ち、リスクを管理することで、仕事をスムーズに進めることができます。
リスクについてはこちらにも記事を書いていますので、参考にしてみてください。
チームの協力
マネージャーはチームが担当する仕事の全体を把握します。そしてチームが担当する仕事の達成に責任を持ちます。
すると一人で全てを終わらせなければいけないと思ってしまうこともあります。
また顧客への提案や問題解決、スケジュール作成などマネージャーが主に担当する作業もあります。これらを一人で悩んでしまうことは起こりがちです。
もし一人で悩んでしまったら、誰かに相談しましょう。提案や問題解決ならチームメンバーにいいアイディアがないか聞きましょう。
スケジュール作成にしてもメンバーにいいアイディアがないか聞いてみましょう。マネージャーが想定しているよりも速く終わらせる方法を知っているかもしれませんし、実は得意ということを教えてもらえれば、想定より速く作業を進められる可能性があります。
異なる視点やアイディアから得られる情報は大事です。他人のアイディアや力を借りましょう。
ただし人に助けを求めるときは、頼み方が重要です。上から目線でやれと言うとか、仕事だからやれと言うのはいけません。礼儀マナーはしっかりしましょう。
人の協力を得るときの態度という点では、カーネギーの人を動かすも参考になります。人に自分が望むことをしてもらうためには、相手にいい気分になってもらうこと、謙遜して相手を持ち上げることが必要です。
とはいえ変にへりくだる必要はありません。お願いします、ありがとうございますを大事にしていきましょう。
戦略的な視点の確立
マネジメントには戦略が必要
マネジメントには戦略的な視点も必要だと私は考えています。
一般的にマネジメントと言うと、計画を立ててメンバーに作業を割り振り、進捗管理をし、問題が発生したら対処するものというイメージがあります。
しかしこれではテンプレートを埋めただけであり、表面的な部分だけしかやっていないと私は考えています。
根本解決や長期的な目線を意識する
目先の問題を解決すればいいとは限りません。根本的な原因を解決しないとダメなこともあります。ときには長期的な視点も必要です。
例えば食費を節約するのに外食の回数を減らすのもいいですが、料理を勉強して自炊中心の生活にするという選択肢もあります。外食やできたものを買ってくるよりは自炊の方が安く済みます。また栄養バランスも取りやすいため健康になるので、病院に行く頻度も減ることが期待できます。
長期的な目線についても説明しておきます。企業の戦略や方針が仕事に影響を与えることがあります。例えば1年後に使わなくなる設備やシステムなら、大きな改善はせず、1年しのげる選択肢を選びます。
あるいは難易度は多少高くても、有用なノウハウが得られる案件や、顧客開拓につながる案件があればやってみるなどです。
仮説検証型アプローチ
解らなくても仮説を立てれば進められる
やったことがないからできない、知らないからできないという言い訳をよく聞きます。こんな話を聞いたことがあるのは、きっと私だけじゃないと考えています。時には証拠や専門家のお墨付きがなければできないという意見もあるでしょう。
当然ながらやったことがないことや知らないことはどうにもなりません。しかしそれではいつまで経っても何もできません。時間ばかりが過ぎてしまいます。
やらずして最初から答えが解る仕事なんて少ないです。そこで知らなくても証拠がなくても、情報が少なくてもやる方法が仮説検証型アプローチです。
仮説を立てて選択肢を絞り込む
仮説検証型アプローチでは、おそらくこうだろうとかこういう可能性があるという仮説を立て、仮説に沿って作業を進めます。そして証拠や必要な情報が集まったり、実験して結果が出たりして、間違っていると解れば選択肢を絞り込めますし、合っていればそのまま進めればいいです。
人によっては思い込みで勝手なことをしていると感じる人もいるようです。しかし先ほどから書いているように、何もせずに待っていても仕方ないです。
仮説検証型アプローチなら証拠やデータ、情報が不十分でも前に進めることができます。間違っていても消去法的に選択肢を絞り込めます。
私は仕事をするときはよく仮説を立てています。作業を始める段階で十分に情報が集まっていればいいですが、そうでないなら常に仮説を立てます。そして仮説を1つずつ潰して絞り込むようにしています。
終わりに
今回は問題解決と決断をテーマに私の経験や私が行っていることを解説しました。
マネジメントをしていく上で、問題解決と決断は常につきまといます。しかし練習を積めば上手くなります。
今回解説したように、アプローチや人の力を借りることで、一人で悩むよりも問題を上手く解決できるようになります。
データを活用したり、長期的な目線を持ったりすることで、決断を手助けする材料になります。
難しいと感じるかもしれませんが、少しずつ取り組んで慣れていきましょう。