個人が生産性を上げるためにできることをマネジメントのプロが解説
自分の仕事の生産性を上げることができたらいいと思うことはありませんか?
かといって生産性の話は、企業が設備投資や標準化などによって行うものであることが多いです。
しかし労働者個人でも、工夫次第で生産性を上げることは可能です。しかも会社が設備投資やIT投資、標準化などを進めてくれるのを待つ必要もありませんし、待っていても埒が明かないです。
今回は私自身が長年に渡りマネジメントに携わり、定時帰りを繰り返してきた経験から、個人が生産性を上げるためにできることを解説します。
残業をしたくない方、職場に非効率が多い方、成果を上げたい方などの参考にしていただければ幸いです。
生産性とは
一般論における生産性
一般論でよく言われる生産性は、労働者1人当たりが作れる成果物の数です。
厳密にはインプットに対するアウトプットの比率です。詳しくは日本生産性本部の記事に解説があります。
https://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html
実際の仕事においては、生産性とは仕事の速さを表すことが多いですよね。それを知るためには従業員個々人が1日など一定時間当たり何個くらいの成果物を作っているかを計測します。
個人の仕事における生産性
個人の仕事における生産性は、仕事の速さを表しているケースが多いと私は感じています。
私もマネジメントするときは個人個人が一定時間(1日や1ヶ月など)に挙げられる成果で表します。これを測るために、成果物のボリューム×数で総量を測ります。
つまり個人が生産性を上げたいと思ったら、仕事を速くして、作れる成果物を増やせばいいということになります。
一般的にイメージされている通りであり、あなたも同様のことを考えているかもしれません。
生産性を上げる方法
無駄を省く
作業の無駄を省く
生産性を上げるためには、単に手を動かすスピードを上げるだけではいけません。むしろそれでは物理的な限界にぶつかってしまいます。
そこで私が提案したいことは、無駄を省くことです。
例えば移動して道具や材料を取ってこなければいけないなら、最初から近くに工具箱などに入れて道具を置き、材料も近くに置いておくのです。
現場仕事やDIY、料理などで単純作業を繰り返す場合を考えてみましょう。1個5分で30個作るとして、1個当たり30秒短縮できたら、全体で15分の短縮です。
こういうことをするためには動きの無駄を省く必要があります。
バッチ処理する
他にもバッチ処理すなわちまとめて処理するという方法もあります。
1つ作るのに5つの作業がある場合、作業1~5を順にやるよりも、10個に対して作業1をやって作業2をやってと1つの作業を複数個に対してまとめてやります。
作業の切り替えに手間と時間がかかることを考えると、バッチ処理の方が速いこともあります。ただしバッチ処理で速くなるかどうかは作業の種類によるので、都度都度検討する必要はあります。
やらなくていい作業を省く
その他には形骸化しているとか慣習だからという理由でやっている作業を見直すという選択肢もあります。
やる必要がない、やらなくても結果に影響しない作業なら、やらないという選択肢もあります。これだけでも作業時間を短縮できます。
形骸化した作業を削減して効率化することについては、別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。
ツールに投資する
生産性を上げるためにはツールに投資することが有効です。
例えば手作業でやっていた作業に対して、現場仕事なら機械を導入する、オフィスワークや店舗ならシステムを導入するなどです。
最近は建設現場でも自働化や電動アシストの機械の導入が進んでいます。オフィスや店舗にもDXの波でシステムの導入が進んでいます。
またオフィスワークではPCのスペックを上げたり、モニターを大きいものにしたり、はたまたマウスやキーボードを使いやすいものにしたりすることで、作業をしやすくできます。
こういう工夫でも生産性を上げることは可能です。
また仕事でExcelを使う方は多いと思いますが、何度も単純作業をするならマクロを組むという方法もあります。
私はVBが好きではないのでマクロは組みませんが、Excelに式を入れて関数を使うことで、コピペするだけでデータを作れるテンプレートを作ることは好きです。
PCでできる効率化については別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。
標準化する
標準化というと面倒だとか、マニュアル作業はつまらないと感じるかもしれません。しかしそれは違います。
標準化するということは、ノウハウを形式知として保存し、共有するということです。
人間誰しも記憶が完璧ではありません。少し時間が空くと、「以前にやったことがあるけど、どうやるんだっけ?」ということもあります。
また型を決めることで、何も考えずとも型通りに作業するだけになるので、迷わず定型的に作業ができるようになります。これにより作業時間を短縮できます。
大事なことは、常に今より上手くやる方法を模索することです。そして自分の標準的な作業のやり方の型をアップデートし続けることです。
これにより常により少ない時間で成果を出せるようになっていきます。
やったことを資産化する
私は成果物自体が資産になると考えています。
モノづくりであっても、資料の作成であっても、同じ作業をやるときや類似の作業をやるときに参考になるからです。
何事も0から考えていたら大変です。そこで過去に作ったものを参考にするのです。
同じものを作るなら思い出すことができたり確認できたりしますし、類似のものを作るときも参考になります。
こうすることでスタートを0ではなく30くらい(ゴールを100と仮定した場合)にするのです。
また参考になるものがあるおかげで、何も参考にしないのと比べてペースアップもできます。手探りと比べれば、参考になるものがあれば2~3倍のペースで作ることも可能です。
部分ではなく全体の生産性を上げる
どんな作業でも複数の工程に分かれているケースが多いです。完成品を作るということは、実体のある物であっても資料であっても同様です。
ここで気を付けなければいけないことは、ボトルネック工程の生産性が全体の生産性を大きく下げるということです。
全体の生産性はボトルネック工程の生産性に引っ張られるという性質を制約理論と呼びます。特に順番に処理していくような作業が該当します。
よって部分最適では特定の作業の生産性こそ上がれど、全体で見ると生産性が全然上がっていないということも起こり得ます。だからこそ全体の生産性に目を向けることが重要です。
部分最適と全体最適については別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。
個人の生産性を上げるメリット
残業時間を減らせる
個人の生産性を上げることのメリットとしては、なんと言っても残業時間を減らせることでしょう。
作業時間を減らせば当然ながら残業時間を減らせます。残業がない職場なんて滅多にないでしょう。残業を減らすことで疲労やストレスも減らせますので、メリットはとても大きいです。
私は定時帰りのメリットという記事も書いています。個人が生産性を上げることで、このようなメリットを得られます。
活躍できる
個人が生産性を上げることで、忙しい人や困っている人を助ける余裕ができます。するとチームメイトから感謝されます。
これを繰り返していくと、チーム内でもできる人として一目置かれることになります。そしてチームメイトから相談されやすく頼りにされる人になるでしょう。
これはこれで忙しくなってしまうのですが、自分が活躍できているという実感は得られます。
なによりチームメイトに貢献できているっていいことだと私は感じます。
評価が上がる
個人が生産性を上げると、他の従業員よりも成果が増えます。すると仕事ができる人とみなされるようになるでしょう。そうなれば上司やチームメイトからの評価も上がるでしょう。
上司からの評価が上がれば、給料やボーナスにとってもプラスになる可能性が出てきます。そして今時は成果を上げないと給料も中々上がらない会社が多いでしょう。
人事制度ができていない昔ながらの中小企業だと、まだまだ全員一律で数千円ずつの昇給というところもありますが、人事制度ができている会社なら評価次第で昇給具合が違ってきます。
そして昇給できるくらい評価してもらうためには、目立って成果を上げている必要があります。あなたが生産性を上げれば、それも可能になります。
生産性を下げる要因
疲労やストレス
疲労やストレスが溜まると集中力が落ちてペースダウンし、注意力が落ちてミスが増えます。
ミスが増えると作業のやり直しも増えるため、一定時間で作れる成果物も減るため、生産性も下がるということになります。
よって生産性を上げるためには疲れていたらちゃんと休むこと、睡眠をしっかり取ること、休日には趣味を楽しんでリフレッシュすることが大事です。
安いツールやPC
安い道具はコストダウンのために機能や使い勝手が抑えられています。また安いPCは性能が低いため動きが遅いです。
よって道具やPCは安物を使わないようにした方がいいと私は考えています。コストパフォーマンスがいい中堅グレードくらいが、十分な性能もあって高過ぎなくていいと私は考えています。
それゆえ私は道具に関してはそのくらいのグレードを買うようにしています。
私の場合、PCはパソコン工房で中堅グレードを買っています。パソコン工房は秋葉原に本店があるBTOのショップで、クリエイター向けやゲーム向けなど種類も多いです。
仕事で使うPCも、会社が十分な性能のものを用意してくれていて助かっています。PCは性能で作業効率が全然違いますので、いいものを使うに越したことはありません。
価格を抑えて性能が低いPCを選んでしまいますと、インターネットやオフィス系ソフトはまだしも、技術系やクリエイティブ系のソフトを動かすには重くて辛いです。
他にも私の場合、仕事で工具を使うことは少ないのですが、自転車のメンテナンスやDIYで工具をよく使います。
工具はホームセンターで買い、100均の工具は使いません。やっぱりそこそこの値段の方が丈夫で使いやすいです。
安い工具は剛性が低かったり、小さくて力を込めにくかったりします。結果的に作業効率が悪いので、生産性が下がるということになります。
夜更かしや寝不足
夜更かしや寝不足は生産性を下げます。夜更かしして朝が起きれなければ当然寝不足になります。
寝不足になると頭がちゃんと働きません。しかも怖いことに頭が鈍っていることを自覚できないこともあります。
寝不足になると頭の動きが鈍くなり、思考時間が伸びます。またつまらないミスも増えます。これでは仕事が捗りませんし、ミスによるやり直しも発生しやすくなります。
だから睡眠時間はしっかり取りましょう。そして万全のコンディションで仕事をさっさと終わらせましょう。
終わりに
今回は私自身が長年に渡りマネジメントに携わり、定時帰りを繰り返してきた経験から、個人が生産性を上げるためにできることを解説しました。
生産性を上げることは簡単ではありません。千里の道も一歩からと言っていいです。
しかし地道に改善を続けていけば、いずれ上がっていきます。だから地道に頑張っていきましょう。