実は残業しない方が難しく、残業する方が簡単|理由も解説!
今回は世間のイメージとは真逆の挑戦的な内容です。
タイトル通り私は残業しない方が難しく、残業する方が簡単と考えています。ただし残業しない方が辛くて、残業する方が楽ということではありません。残業する方が疲れます。しかし残業しない方が難易度が高いというのが私の考えです。
そもそも残業しない方が簡単で、残業する方が難しいなら、世の中のほとんどの企業は毎日定時帰りしているでしょう。それどころか定時までに仕事が片付いているかもしれません。一部のエリート揃いの会社だけが残業していることでしょう。
現実にはそんなことはなく、あらゆる会社が沢山残業をしています。
もしあなたが残業に対して疑問を感じているのなら、是非この記事を読んでください。そして残業を正当化する人に見せてあげてください。またはこの記事の内容を伝えて言い負かしてもいいでしょう。
私は残業賛美に疑問を抱く人や、残業に不満がある人の味方です。そういう人のために残業の真実について書きます。
誤解がないように断っておくと、残業する方が疲れる
誤解がないようにもう一度言いますが、残業しない方が仕事のやり方に関する難易度が高く、残業する方が仕事のやり方に関する難易度が低いのです。
辛くて疲れるのは残業する方です。残業しなければ疲労は少ないです。
残業しない | 残業する | |
---|---|---|
仕事のやり方の難易度 | 難しい | 簡単 |
疲労 | 少ない(楽) | 多い(辛い) |
残業しない方が難易度が高いという意味について、数字で説明します。普通に働いたら月に40時間の残業が必要な仕事があるとします。この仕事を月に40時間の残業をして終わらせるのは普通です。ちょっとダラダラとやったり、つまらないミスをしたりすれば、月に50時間に増えるかもしれません。
この仕事を月に10時間の残業で終わらせることが難しいのです。標準労働時間を160時間として、月に200時間かかる仕事を170時間で終わらせるということだからです。15%も労働時間を削減するということは、約18%も生産性を上げなければいけません。
これが私が残業しない方が難しいと言う理由です。
残業する方が簡単な理由
仕事を上手く進めることを考えなくていいから
残業しても構わないなら、ただ漫然と仕事をしていればいいです。ほとんどの会社には非効率な業務が沢山ありますし、人手不足の会社も多いです。
だから普通に仕事をしていれば残業は沢山発生してしまいます。
残業をするために必要なことなどないのです。会社の規則で許可が必要なら話は違いますが。世の中は基本的には残業を正当化あるいは賛美していますので、残業した方が協力的とかやる気があるとみなされてしまうくらいです。
だから益々残業することの方が簡単なのです。
仕事のやり方が下手なせいで残業地獄になった例はこの記事を参照してください。実際に私はサービス残業を毎月200時間もしたことがあります。
言われたことだけやってればいいから
言われたことだけやって、既存のやり方に則っていれば、自然と残業が発生します。何も考えなくても、何も工夫しなくても残業は発生します。仕事にはやることも割り込みも沢山ありますから。
よって自分で仕事のやり方を改善したり、仕事をより良くしたりすることを考えなくても、残業はできるのです。残業をするために考えることなどありません。既婚者や実家暮らしの人は帰宅して怒られる、あるいは無視されることを気にする必要がありますが、会社においては考えることはありません。
むしろ残業しない方が周りに気を使わなければいけません。
上手くいかなければ諦めて時間を費やせばいいから
仕事を上手く進めようとしても、想定外なんていくらでも起こります。仕事は中々思い通りに進まないものです。そんなとき諦めて残業するのは簡単なことです。
残業しない働き方を実践するなら、上手くいかないことがあっても、上手くやる方法を考えなければいけません。しかし残業しても構わないなら、上手くいかなくても諦めれば、沢山残業できます。
残業しないためには先手を打っていく必要があります。
何も創意工夫をしなければ残業する羽目になるのです。
残業しない方が難しい理由
残業が当たり前とされているから
残業はあって当たり前という雰囲気があります。残業なんてない、毎日定時で帰ってるなんて人は少ないでしょう。
非正規雇用であれば時間が決められていることもありますが、正社員だったら残業時間は青天井です。仕事がある限り残業をさせられますし、トラブルや割り込みが起きれば起きるほど残業時間は増えます。
残業代が払われるならまだマシで、残業代が払われない(=サービス残業)というケースも少なくないでしょう。私も100時間とか200時間のサービス残業をさせられたことがあります。こういう会社ではこれが当たり前になってしまっていることが怖いです。
制度上は定時で帰るのが当たり前なはずなのですが、残業するのが当たり前、定時帰りなど稀にしかありえないのが現実です。こういう空気がある以上、残業しないと怠け者、非常識という扱いを受けてしまいます。
残業を正当化する人たちがいるから
日本は高度経済成長で欧米に追いつくためにハードワークをして、その結果としてジャパン・アズ・No.1になった経験があります。残業が正当化されるのも無理はありません。
残業している人ほど頑張っている、残業は美徳、残業すればするほど偉いという空気感が世の中にはあります。働き方改革によって意識は変わってきているのでしょうけど、そんな簡単には変わらないでしょう。
こちらの記事にも残業が多い理由を書いています。根性論なども古い体質の会社では残っているでしょう。
ビジネスモデルの影響もあります。アウトソーシング(派遣や業務委託など)、特にSES(システム・エンジニアリング・サービス。システムエンジニアを派遣する形のアウトソーシング)などは時間でチャージしますので、残業すればするほど売上が高くなってしまいます。
基本的に会社は稼げる人ほど業績に貢献していると言えますので、時間でチャージするビジネスモデルでは、残業を沢山している人ほど偉いとなってしまいます。残業を沢山している人ほど売上が高くなってしまいますので。
仕事に想定外は付きものだから
仕事には想定外がつきものです。いつだって予定と違って、割り込みが入ったり、思うようにいかなかったりすることが出てきます。
よって先を読んだり臨機応変に対応したりしなければいけません。これが難しいから予定よりドンドン遅れて残業が必要になってしまいます。
所要工数を正確に見積もることは難しいから
作業にかかる工数を正確に見積もることは難しいです。特に想定外の要素で実績工数が膨らんでしまうケースをよく見ます。人間は基本的に楽観的ですので、想定以上に上手くいく、想定外は起こらないという前提で見積をしてしまいます。それゆえ実績工数が見積工数をオーバーしがちです。
楽観的な見積もりをしてしまうことについてはこの本に書かれています。見積方法について色々な示唆を与えてくれる本です。最小値、最大値、期待値や見積の幅、大数の法則の活用などが解説されています。
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部分最適ではなく全体最適の目線が必要だから
残業を減らすためには生産性を上げることが必須です。しかし生産性を上げるには、部分最適ではなく全体最適が必要です。特定の工程における生産性だけ上がっても、ボトルネック工程の生産性を改善しなければ、全体の生産性は上がらないからです。
しかし多くの人にとって自分の業務は詳しいけれど、自分の担当外の業務は解りません。ましてや業務フロー全体を俯瞰して見れる人はごく少数です。
それゆえ部分最適なら多くの人にできるけれど、全体最適ができる人はごく少数となります。
全体最適についてはこちらに詳細な記事を書いていますので、気になったら読んでみてください。
マネジメントを改善しないとできないから
実は残業はマネジメントの巧拙でほぼ決まります。残業が多い場合、マネジメントに問題があると言ってまず間違いないです。
マネジメントをする立場にない場合、残業を減らすことは極めて困難です。つまりマネージャーがマネジメントを上手くやるか、あなたがメンバーの場合はマネージャーを上手くコントロールするしかないのです。
元も子もない話ですが、これが現実です。マネージャーが残業する方が偉いという人、あるいは残業はしょうがないという人だったら、残業しない働き方は絶望的です。嫌でも残業をせざるを得ないです。
これが解っているからこそ、私は残業しないマネジメントを実践します。新しく配属になったメンバーには最初に「残業するな、定時で帰れ」と言います。19時を過ぎても残っていたら「さっさと帰れ」と言います。
私もたまに30分~1時間くらい残業してしまうことはあります。残業せずに仕事を終わらせることは難しいのです。
終わりに
今回は型破りで非常識な話でした。残業をすることが難易度的に簡単で、残業しないで終わらせることが難易度的に難しいと伝わりましたでしょうか?
考えや知識が足りないせいでトラブルが発生して、スケジュールが遅れていく案件を、私は数多く見てきました。だからこそ残業しない働き方を追求しますし、残業しない働き方をするために必要な知識や考え方を発信していきます。そしてそれが簡単なことではないことも今回書きました。
反発や反論は多々あると思いますが、それでも私は残業せずに目標を達成する働き方を追求します。日本の従業員エンゲージメントは世界的に見てとても低いです。しかしマネジメントを上手くやれば、もっといい働き方ができるはずです。