属人性と非効率は標準化・効率化により継続的に改善しよう
属人性や非効率、不毛な長時間残業は色々な職場にあふれています。今回は属人性と非効率の弊害、そしてそれらを解消する方法について解説します。
よくある属人性と非効率の問題
属人性の問題
ほとんどの職場には属人性があります。その人の頭の中にしか仕事のやり方や情報がないという状況は当たり前のようにあります。そして仕事は一般的に役割分担して行うため、仕事をするために各自がやり方を組み立てたり情報を得たりしていきます。すると仕事をするだけで属人性が発生していきます。
もしその人が怪我や病気になったり、退職したりしたときはどうしましょう?何もしなければお手上げになってしまいます。一般的に退職や異動があるときは引継ぎが行われますが、言い換えるとそういうときにしか共有は行われないのです。
非効率の問題
非効率も多くの職場にあります。IT化や自動化をすればいいのに手作業でやっていたり、マニュアル化されていないために都度手順の確認が必要だったりということは往々にしてあります。
やり方の改善が行われておらず、昔から習慣的に非効率なやり方をしている可能性もあります。
残業とストレスの増加につながる
属人性にせよ非効率にせよ、残業は増加しますし、仕事がスムーズに進まなくなるのでストレスも増加します。属人性は特定の人の負荷を増やしますし、負荷の平準化の妨げとなります。非効率はそのまま残業時間に直結します。残業時間の増加はコストの増加でもあります。
属人性・非効率は標準化・効率化で解消する
属人性は標準化で解消する
属人的ということはその人しか知らないということです。よって手順を資料や図など見える形にします。こうすれば誰もが参照でき、標準化・共有化された状態になります。
このときすべてを標準化しようとしないことがポイントです。すべてを標準化するには膨大な労力がかかるはずです。どんな職場でも仕事の種類は沢山あるからです。
重要な作業や影響・ボリュームが大きい作業に絞って標準化しましょう。そして標準化したら引継ぎの要領で解説したり一緒にやったりしましょう。
非効率は改善して効率化する
非効率だと感じる作業に当たったら、どうすれば効率的にできるか考えてみましょう。作業時間が長い作業も同様です。改善を行う時間を捻出することは難しいので、作業時に少しずつやり方を改善していく方が着実に前進できます。
効率化の方法としては、無駄な作業を省く、まとめて作業する、同じ結果を得られる別のやり方に変えるなどがあります。PCを使う作業ではPCスペックを上げたり、大きなモニターを使ったりすることで、簡単に作業効率が大幅に上がります。
根性論で生産性は改善しない
ここまで紹介したことを実践するのは面倒だと感じるかもしれません。あるいは優秀な人がいれば生産性は上がるから関係ないと思うかもしれません。ゴチャゴチャ言わずに仕事をやれという人もいるかもしれません。
しかし根性論では効率も生産性も上がりません。改善もされません。地道な積み重ねが大事です。そして人間は習慣の生き物ですので、改善を習慣化すれば、改善することが普通になっていきます。
継続的な改善活動が大事
一番重要なことは、一回やって終わりではなく、継続することです。筋トレやダイエットと同じで、続けることで効果が出てきます。忙しくて余裕がないときもあると思います。
しかしそんなときでも、少しずつでいいから前進しましょう。0より1という考えで改善を行うのがよいです。ダイエットと同じで、忙しいからとサボると、忙しいことを理由にずっとサボり続けるようになります。
属人性や非効率の事例
属人性の事例
Aさんは何でも自分でやってみるタイプの人です。X社に勤めて20年、自部署の仕事はすべてこなせます。しかし人に任せるということができず、自分で抱えがちです。
20年も経つと人の入れ替わりも多く、半分近い仕事がAさんにしか解りません。そしてAさんの残業時間はいつも簡単に60時間くらいに達してしまいます。
Aさんは自分が部署を支えていると誇りを持っていますが、X社は働き方改革で残業削減に乗り出しました。X社はAさんに残業が偏っていることを指摘し、改善するようAさんの部署に指示を出しました。Aさんは他人に任せることができないため、困ってしまいました。
属人性の解消例
Aさんのような人は割といるのではないかと思います。みなさんの中には気付いたら自分しか知らないことが多くなっている方もいらっしゃるかもしれません。
ボリュームや発生頻度が高い順に、Aさんの仕事を見える化・形式化する必要があります。すべての仕事を見える化・形式化するのは大変すぎるので、影響が大きいところに絞ります。
そしてAさんが他のメンバーに教えながら他のメンバーにやってもらうことで、Aさん以外の人もできるようにしていきます。
非効率の事例
Y社では一応業務のマニュアルを作成しています。しかしどのマニュアルも業務プロセスを最初に決めたときに作ったきりで、改善は全く行っていません。その間に業務のシステム化も進み、社員一人一人にPCが配られるようにもなりました。
Y社では誰もがマニュアルに沿って仕事をしています。マニュアルにこう書いてあるんだからという考え方で、マニュアルの内容を見直そうという意見は出てきません。
非効率の解消例
一回やり方を決めたら終わりではありません。やり方を長く改善していない作業や、時間がかかる作業、発生頻度が高い作業は、都度あるいは定期的にでもいいので、やり方を見直し改善しましょう。
手書きで時間がかかる、またはミスが多い作業では、Officeソフトの使用(テンプレートを作るなど)やシステム化を検討しましょう。ボリュームや頻度が高い作業は、Excelで式や関数、マクロを作ったり、システム化したり、現場仕事であればより作業効率の良い道具の導入を行いましょう。そして不要な作業の削除や統合を行いましょう。
Excelの式や関数、システムの画面などは、1つ入力したら関係する項目が自動保管される、金額を入れたら自動計算されるなどの仕様にするのも有効です。またExcelやシステムでデータを管理すれば、欲しいデータを探すときに簡単に検索できます。
工場や建設現場、店舗などの現場仕事なら、スマホやタブレットを支給してExcelやシステムを使うという方法もあります。
終わりに
属人性や非効率はほぼ必ずあるものですし、属人性に関しては仕事をすればするほど増えていきます。改善時間を取るよりも、普段の仕事に改善活動を織り込んでしまう方が楽です。
属人性や非効率をしっかり改善して、残業もコストも少ない健全な働き方を目指しましょう。