仕事におけるマネージャーの役割をマネジメント初心者でも解るように解説
管理職やプロジェクトマネージャーなどマネージャーというポジションが仕事にはあります。マネージャーというポジションに就いて何をすればいいのか解らないという方もいれば、マネージャーというポジションに就きたいと思っている方もいるでしょう。
今回は仕事におけるマネジメントとは何か、そして仕事におけるマネージャーの役割について解説します。
マネジメントは日本語にすると管理です。あまりに広くとらえられる言葉です。これだと漠然としているからこそ解説が必要です。
今回は新人管理職や新人プロジェクトマネージャーなど初めてマネジメントに携わる方、将来マネジメントをやりたい方などでも解るように、マネジメントの定義とマネージャーの役割について解説していきます。
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マネジメントの定義
まず最初にマネージャーの仕事であるマネジメントについて解説しておきます。
何とか上手くやっていくこと
英語でのマネジメントの定義は何とか上手くやっていくことです。これは色々な本に書かれています。なんともザックリしていてふわふわしている言葉ですよね。
またマネジメントは経営と管理の2種類どちらにも使われます。何とか上手くやっていくことが定義ですので、経営でも部署やプロジェクトの管理でも使えるのだと私は考えています。
マネジメントに求められる役割は幅広い
つまりマネジメントとは、会社や部署、プロジェクトなどを何とか上手く運営していくことなのです。
この表現から言えることは、マネジメントが担当する範囲は広いということです。上手く運営するために必要なことはすべて含むと捉えられますし、上手く運営するためにやらなければいけないことは山のようにあります。
それゆえマネジメントをやるためには広い範囲の勉強が必要になります。特定職種、例えば開発や営業、販売、調達、経理、人事、総務、法務などだけ詳しければいいというわけにはいきません。
経営や事業、計画・統制、コミュニケーション、思考力など幅広い知識を必要とします。マネジメントは総合力がものを言う仕事です。
こんなことを言うと身構えてしまうかもしれませんが、やっているうちに徐々に身に付いていくので、最初は気にしなくていいです。マネジメントを続けていけば、将来的には広く色々詳しい人になれるという期待は持っていただいて全然OKです!
仕事におけるマネージャーの役割
作ったり売ったりする以外の管理活動を行う
会社や部署を上手く運営するためには、運営について考えたり実行したりする人が必要です。作ったり売ったりする人だけでなく、下記のようなことを考える人も必要です。
- 何を作るか?
- どうやって作るか?
- どれくらい作るか?
- いくらで作るか?(コストの話)
- どんな人に売るか?
- どうやって売るか?
- いくらで売るか?(価格の話)
- いくらかけて売るか?(コストの話)
上記はよくある例であり、考えればもっとあるでしょう。そして上記のことに加えて儲かるかどうかを考え、実行した結果として儲かったかどうかを把握する必要があります。利益が出なければ会社を継続できませんから。
一般的にはこれらの運営に関することをやることがマネジメント、マネジメントをやる人がマネージャーと呼ばれています。
マネジメントを全社で担当するのが経営者(いわゆる取締役)であり、部署で担当するのが管理職、プロジェクトで担当するのがプロジェクトマネージャー(会社によってはプロジェクトリーダーのこともあります)です。
製品・サービスを作ったり売ったりしながら上記のような運営のことも考え、結果も計測していくのは大変です。そこで専任の担当者を置くわけです。それが経営者や管理職などのマネージャーという立場の人たちです。
稼ぐ人が稼ぐことに専念するため運営を担当する
別の見方をすると、運営のことは会社や事業のことをよく知っている人に任せて、みんなは作ることや売ることに専念できるよう役割分担した方が効率的ということでもあります。
同時に運営を行う人は経営者なら会社全体に、管理職なら担当部署全体に責任を負います。最終責任を取る人を明示するために経営者や管理職がいるということでもあります。
現実的には権力の明示や出世欲を煽るために管理職のポジションが存在しているケースもあります。昭和くらいの時代にはその方が一般的だったでしょう。
しかし経営者や管理職は権力のためにあるとか、権力があるから偉いと考えてはいけません。そう考える人は少なからずいるでしょう。しかしそんな考え方はブラック企業と同じです。
昨今はプレイングマネージャーが増えている
しかし昨今は人手不足やコストダウン、効率化などによりプレイングマネージャーが増えています。上記のような運営のための活動をしながら、作ったり売ったりする人が増えているということです。
あなたがもし管理職やプロジェクト・マネージャーであれば、よほど大きな部署・プロジェクトでなければ、プレイングマネージャーとして活動する必要があるでしょう。おそらく多くの理由は人手が足りないからです。
この場合は作ることや売ることに専念しすぎて、運営を上手くやることがおろそかになってしまうということがないように気を付ける必要があります。自分がやることとメンバーにやってもらうことを明確に分ける必要があります。
現実にプレイングマネージャーは増えていくのが世の中の流れです。マネージャーの役割を理解しつつ、運営と作る・売るなどの実務のバランスを取っていく必要があります。
チーム内でのマネージャーの役割
仕事全体におけるマネージャーの役割を解説しましたので、次はチーム内とチーム外という観点からマネージャーの役割を見て見ましょう。実はこの観点で大きく異なるのです。
まずはチーム内におけるマネージャーの役割から解説します。多くの方にとってはこちらの方をよく目にするため、マネージャーらしい仕事としてイメージがつきやすいでしょう。
目的を達成すること
チーム内でのマネージャーの役割は、メンバーを活かしてチームの目的を達成することです。決して偉ぶったり権力に浸ったりすることではありません(今時そんなものを求めたい人は少ないでしょうけど)。
メンバーを活かすためにはモチベーションの維持・向上、育成、適材適所の役割分担が必要になります。またゴールの共有とゴールに向かう道筋の提示も必要になります。ゴールやゴールに向かう道筋とはいわゆる計画のことを指しています。
何のためにやらされるのか解らなくてはモチベーションは上がりません。よって仕事をやらせるのではなく、一緒にゴールに向か仲間という意識が必要になります。
チームワークによって成果を出す
つまりチームを上手く回すためにはチームワークが必要になります。マネージャーはチームワークを強化して成果を上げ、目的を達成する必要があるのです。
チームワークを強化するためには、仕事における専門知識とは別の知識が必要になります。つまりリーダーシップやチームワークの勉強をする必要があります。
チームワークを強化するのに役立つ知識
チームをテーマとした書籍は沢山出回っています。勉強しようと思えば教材はいくらでもあるということです。気になるところから書籍を買って読んでみるでもいいです。
キーワードを挙げるとしたら、チームビルディングやリーダーシップなどが代表的なところです。またチームワークではありませんが、チームとしてのタスクの取捨選択に役立つ知識として、インバスケット思考もお勧めしたいです。
チームビルディング
チームビルディングとはチームを成長させていくことを指します。
最初は能力も個性も考えも違う人が集まってバラバラだけど、それが衝突しながら徐々に目指す方向性や人間関係ができてきて、最終的には強いチームができるというものです。
実はチームの勉強のためにマンガが参考になるという話もあります。マンガの内容によりますが、個性的なキャラクターが衝突しながらも協力して、衝突や学びを繰り返しながら困難を乗り越えていくというマンガはおそらく少なくないでしょう。
東洋経済にはONE PIECEからチームやリーダーシップを学べるという記事もあります。
https://www.shonenjump.com/j/rensai/list/onepiece.html
https://toyokeizai.net/articles/-/659256
リーダーシップ
リーダーシップに関しては書籍が多々出回っています。有名どころで行くと、ジョン・コッターのリーダーシップ論があります。
【中古】 リーダーシップ論 第2版 人と組織を動かす能力/ジョン P.コッター【著】,DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部,黒田由貴子,有賀裕子【訳】 【中古】afb
私が定期購読しているDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューでも世界的企業のCEOのリーダーシップを読めます。
ただしハーバード・ビジネス・レビューはマネジメント初心者には難易度が高すぎるかもしれません。論文ですので中級者以上向きですし、マネジメントに慣れてきて行き詰まった方が読むのがいいかもしれません。
ハーバード・ビジネス・レビュー リーダーシップ論文ベスト10 リーダーシップの教科書 [ ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 ]
インバスケット思考
インバスケット思考は、時間的にどう考えてもこなしきれない量のタスクの中から、今やるべきタスクを選ぶための考え方です。優先度や重要度によるタスクの選別の練習になりますし、重要でないタスクを削減する練習にもなります。
インバスケット思考も勉強しておくと役立ちます。マネジメントをやり続ける限り、タスクの洗い出しと優先度・重要度付け、タスクの取捨選択をし続けなければいけないからです。
私は昔、この著者の本でインバスケット思考を勉強しました。
インバスケット思考 究極の判断力を身につける [ 鳥原隆志 ]
チーム外でのマネージャーの役割
続いてチーム外でのマネージャーの役割について解説します。
調整や交渉を行うこと
チーム外でのマネージャーの役割は、自身が窓口となって関係各者(ステークホルダーとも呼ぶ)と調整や交渉を行うことです。
仕事を進めるためには、部署や会社を越えての協力が必要です。
生産と調達、生産と営業などは部署間での協力が必要ないい例です。また下請けや仕入れ先、顧客などとの協力も欠かせません。
他部署や他社との窓口はマネージャーの役割です。ときには交渉は発生することもあります。
メンバー相手でも同様ですが、他部署や他社に対しても仕事だからやれという態度を取ってはいけません。他部署や他社と協力関係を築き、継続的に協力してもらうことが重要です。
メンバーの頃の仕事は役割分担されたものなので一人でもできます。しかしマネージャーの仕事は多くの関係者が協力して初めて成り立つものです。協力してもらうことこそが重要と覚えておいてください。
調整や交渉に役立つ知識
ステークホルダーと調整や交渉を行うといっても、最初はどうすればいいのか解らないと思います。
私もマネジメントを始めたばかりの頃は、先輩に何を確認すればいいのか教わりました。お客さんからの質問に答えられるのか不安になったこともありました。
要点を抑えるという意味ではロジカルシンキングが役立ちます。またコミュニケーションの勉強は必須です。相手がどう感じるか、どうすれば伝わりやすいかなどを学ぶといいです。
ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル (Best solution) [ 照屋華子 ]
コミュニケーションに関しては心理学の本が沢山出回っていますので、選ぶ方が大変なくらいです。
ここでは私が読んだなかでコミュニケーションに関する名著と言われるものを紹介します。カーネギーの人を動かすという本です。
カーネギーの人を動かすでは、人に動いてほしければ相手に合わせることが書かれています。自分の都合を押し通すのは逆効果なのです。
マネージャーの究極の役割は決めることと責任を取ること
決めることこそがマネージャーの重要な役割
ハッキリしない上司を考えてみてください。みなさんがそういう上司に当たったことがあるかは解りませんが、検索すると上司に対する不満としてよく出てきます。
逆にちゃんとしてると感じるマネージャーは、決めるべきことを決めてくれる傾向がある人が多いと感じます。もちろん決めたことがいいか悪いかというのは別問題ですが。
実はマネジメントを始めたばかりの頃は、決めるということが難しいのです。何を基準に決めればいいのかが曖昧だからです。
ハッキリしない上司はダメだという記事も書いていますので、参考にしてみてください。
決めることは慣れればできるようになる
決めることは難しいです。しかし決めること、すなわち意思決定は経験を積めば上達します。慣れの問題です。最初は解らないけど、解らないなりに決めてください。
マネジメントを始めたばかりの頃は、決めるということが解らず悩んでしまうことがあると思います。最初は初心者なのだから当然です。
しかし解らないなりに悩んで決めてみて、振り返ればいいのです。最初はどうせ上手くいかないので、気軽に決めて、間違えたら修正しましょう。最初からちゃんとできるわけがなく、できなくても大丈夫です。
もし決めることを間違えて失敗して困ったら、あなたよりさらに上の上司に相談しましょう。
仕事の進め方で悩んだらメンバーに相談することも考えましょう。あなたが知らない上手い方法を知っているかもしれませんし、一緒に悩んだらアイディアが出るかもしれません。
一人で抱え込まず、人の力を借りて、慣れていきましょう。そうすればしっかりとやるべきことを決めて、チームやプロジェクトとしての仕事を進めていけるようになります。
責任を取ることもマネージャーの重要な役割
私の個人的な考えですが、責任を取ることはマネージャーの重要な役割として覚えておいてほしいです。
会社という場所では責任の押し付け合いが横行しています。何か問題が起きたら部下を叱る上司だっているでしょう(現在ではパワハラ問題により減ってきているかもしれませんが)。
しかしメンバーや他部署、他チーム、他社に一方的に責任を押し付けるようなことをしてはいけません。責任を押し付ければその場しのぎはできますが、関係が悪化して仕事がスムーズに進まなくなります。
メンバーが失敗したときは自分が代表してステークホルダーに謝ることが必須です。それからステークホルダーと関係を築くことも必須です。
問題が起きたときは、一方にだけ100%の責任があるなどまずないです。どちらにもいくらかの非がある場合がほとんどです。だから自分の落ち度をお互いが認めあえることが大事です。
メンバーが勘違いをしたり、全然違う成果物を出してきたときは、メンバーを一方的に叱ってはいけません。自分の指示の仕方を振り返りましょう。そして伝わるまですり合わせを行いましょう。「解れ、察しろ」では通用しません。伝えるのはマネージャーの仕事です。
私はマネージャーはコミュニケーションを勉強した方がいい考えています。その理由は上記のようなところにあります。もはや地位や権力が高ければ偉い時代ではないのです。
終わりに
今回は仕事におけるマネージャーの役割について解説しました。どんな本にもありそうな導入の話ですが、マネジメントの仕事を少しでも理解していただけたらと思います。
ちなみにマネジメントと言えばピーター・ドラッカーが有名ですが、この人の著書はマネジメントの経験を積んだ人でないと難しいのではないかと私は感じています。人によるとは思いますが。
マネジメント力を上げるためには、幅広い知識や思考力が必要です。これは一朝一夕には身に付きません。専門分野の知識はもちろんですが、ビジネスや組織に関する知識も必要です。
1つはビジネス情報を仕入れることです。私はダイヤモンド社のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューを定期購読しています。
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューはマネジメント界でホットなテーマについて毎月特集を組んでくれています。
しかも欧米の大学の先生や世界的企業のCEO、世界的コンサル会社の役員などが執筆しているため、世界最先端のマネジメントを学べます。ハーバード・ビジネス・レビューで紹介されたことが3~5年くらい遅れて日本で話題になるくらいです。