答えのない仕事でストレスが溜まっている人のために上手くやる手順を解説
多くの仕事は手順とかマニュアル、プロセスがあります。モノづくりの仕事でも仕様があります。それゆえ多くの仕事には正解があると言えるでしょう。
その正解が解りづらい場合も多いのですが、人に依頼する以上は完成形を明確にするのが仕事です。そうでないとトラブルになりますから。
しかしときには手順もできていなく、仕様も決まっていない仕事もあります。さらにはやったことがある人がいないからやり方も解らないという仕事もあります。
そもそも何をすべきかという仕事もあります。やることもやり方も決まっていない仕事ですね。
私自身もマネジメントを長年やってきましたが、どんな選択肢を選べばいいかは都度都度違うため正解はありません。常によりベターな解を求めるものだと考えてやっています。
今回は答えのない仕事でストレスが溜まっている方のために、答えがなくても上手くやる方法を解説します。私がマネジメントの仕事でやっているアプローチを解説します。
参考事例を探す
参考事例を探す理由
まずは参考事例を探しましょう。答えのない仕事は何も解らないところからスタートします。よって一人で悩むよりは参考になるものを探した方がいいです。
ニュートンは巨人の肩の上に乗ると言いました。先人たちの知識は巨人のように大きなものであり、これを学べば巨人の肩の上から見るかのように広い視野を得られると言ったのです。
ニュートンほどの天才ですらそうなのですから、我々一般人が先人たちの知識を学ぶことはもっと有効でしょう。
巨人の肩の上に乗るという話はこちらにも書いています。他にも新しいチャレンジに使える方法をいくつか紹介していますので、読んでみてください。
それから大事なことはインプットなくしてアウトプットなしということです。これはクリエイティビティの鉄則です。
自社で類似の案件
参考事例が大事ということで、まずは自社内で類似の案件を探してみましょう。そのまま使うことは無理ですが、参考になる箇所がいくつか見つかる可能性があります。
答えのない仕事はどうせ解らないことだらけなので、ヒントが見つかるだけよしと考えましょう。
他社で類似の案件
自社内に参考になる案件がなかったら、他社で類似の案件を探してみましょう。
とはいっても協力関係にある会社でないと聞くことは難しいです。実際には世の中に類似の事例があるかどうかを探すことになります。
最近はネット上にケーススタディが載っているケースもあります。書籍や雑誌で取り上げられているケースもあるかもしれません。
まずは参考になる情報を探すことが先決です。どうしても見つからなかった場合は自力で考えるしかありませんが、この後に私が紹介する方法で補うことはできます。
目的や制約条件を整理する
目的を確認する
答えのない仕事はゴールもやり方もよく解りません。だからこそまずは目的を明確にしましょう。何のためにこの仕事をするのか?を明確にするのです。例えば次のような目的があるでしょう。
- 売上を増やす
- コストダウンする
- 顧客を獲得する
- イベントや店舗などに集客する
- 効率を改善する
- 在庫を減らす
- 顧客満足度を高める
- 従業員満足度を高める
- 離職率を下げる
一概には言えないとはいえ、会社の活動の多くは上記のことに結びつくでしょう。
目的を明確にしておけば、アイディアを出しても目的に沿うかどうかで取捨選択できます。
制約条件を確認する
仕事には制約条件があります。一番解りやすい例が予算や人員、期限です。
実は制約条件があるおかげでアイディアを出しやすくなります。
有名な建築家が「制約がクリエイティビティを高める」と言ったそうです。建物の例で言えば、土地も用途も決まっていないのに「良い建物を建ててよ」と言われても困るでしょう。
土地に関しては四角い土地なのか、三角形の土地なのか、道路に面しているのか、斜面と平地どちらにあるのかで違うでしょう。
用途に関しては戸建て、マンション、店舗、商業施設、オフィスビル、工場、倉庫など様々にあります。
しかし土地にせよ用途にせよ、いずれも決めないと仕事を進められない要素です。
予算や人員、期限も同様です。予算が無限にあるわけがないので、ないならないなりに安く済ませる方法を考えます。
人員も決まっているものなので、外注を使って補うとか、マンパワーが少なくてもできるアイディアが出てくるでしょう。
期限も当然あるので、期限が短ければ短時間でできそうなもの、期限に余裕があれば手間をかけたものとなるでしょう。
このように制約条件からアイディアを出すことが可能です。目的の次は制約条件をよく確認しておきましょう。
ブレイクダウンして絞り込む
少しずつ具体化する
目的や制約条件が決まったら、そこから解ることやできそうなこと、アイディアなどを書き出していきましょう。そして並べていきましょう。
書き出しているうちに段々と具体的になってきます。
例えば売上を増やすという目的があって、予算が10万円で2人でやらなければいけないとしましょう。
せいぜいチラシやポスティングとか試供品しか、宣伝のために配れるものはないでしょう。それから2人じゃイベントなどできないですね。
じゃぁお店の前で試供品やチラシを配ろうというアイディアが出てきそうです。
仕事の効率を改善するのが目的なら、非効率な業務を洗い出しましょう。そしてなぜ時間がかかっているか、どういうやり方なら効率が上がるかをみんなで考えましょう。
このようにトップダウンアプローチでやっていくと、徐々にアイディアが出てきます。アイディアは多ければ多いほどいいので、出せるだけ出しましょう。
あなた以外にも担当者がいる場合は、アイディアを出すのにブレインストーミングを使うのもいいでしょう。アイディアは見える形でドンドン出していきましょう。
https://miro.com/ja/brainstorming/what-is-brainstorming
絞り込むとアイディアが出やすくなる
アイディアが出てきたら、絞り込みましょう。目的に沿っているか、制約条件に当てはまるかなどを考えて絞り込みます。
また類似のアイディアはグループ化してしまいましょう。アイディアをグループ化するのにKJ法という方法があります。
https://stockmark.co.jp/coevo/kj-method
現実には目的や制約条件を明確にすることや、それらに沿って方向性を決めること、アイディアを出すことが難しいです。アイディアさえ出そろっていれば、絞り込むことはそれほど難しくないです。
ここまでのアイディアを出して絞り込むプロセスについては、別の記事で詳細に解説しています。答えのない仕事の進め方に悩んだら、是非参考にしてください。
答えのない仕事の進め方の例
それでは架空の会社員のAさんを例にして、答えのないザックリとした指示の仕事を進める例を見ていきましょう。
例題
Aさんは飲食チェーンに勤めています。
上司から個性的なカフェを企画するように言われました。Aさんの会社では定食屋や居酒屋、ファミレスは運営していますが、カフェは初です。
上司はどんなお店にすればいいかを考えてくれと言っています。かなりの丸投げっぷりでAさんは悩んでしまいました。
そこで趣味仲間でマネジメントを仕事にしているBさんに相談することにしました。
まずはマインドセット
Bさんはまずマインドセットの話をしました。
Bさん「マネジメントの仕事は特にそうなんだけど、大事なことは正解はなくてよりベターな解があるということなんだ。企画の仕事も同様だと思うよ。」
Aさん「正解はないのか。よりベターな解ってどうすればいいんだ?」
Bさん「取れる選択肢を出せるだけ出してみる。その中で一番いいと思う解を選ぶ。」
Bさん「ちなみに完璧さを求めたらいつまで経っても前に進めないからな。後でもっといいアイディアを思い付いて修正することもあるし。」
Aさん「なるほどなぁ」
参考事例を探す
Bさん「アイディアを出すときは白紙から考えても何も出てこない。だから参考事例を探そう。かの有名なニュートンだって、先人の知識を学ぶことは巨人の肩の上に乗るようなものだと言ったんだ。」
Aさん「なるほど。じゃぁ個性的なカフェがどんなものがあるか探してみればいいんだな。」
こちらの記事のように、コンセプトカフェというものがあります。プラレールとか学校風なんて好きな人は好きそうだなと私は感じます。プラネタリウム風なんてデート向きですね。
https://tabelog.com/matome/22795
このようにまずは参考になるものを探してからです。お店にせよ商品にせよ、BtoCなら参考になるものは沢山あります。
一方でBtoBの製品・サービスはビジネス誌やビジネス情報サイトに事例が載っているケースもあります。
あるかないかは調べてみないと解りませんが、まずは参考事例を探してみるといいと私は考えています。
目的と制約条件を確認する
Aさん「調べてみたら個性的なカフェは沢山あった。でもニッチ過ぎると客があまり入らないそうだよなぁ。」
Bさん「参考事例を見つけたら、目的と制約条件を確認しておくといいよ。プロジェクトでも期限とか予算、人員などの制約があるんだ。」
Aさん「目的は個性的なカフェだね。制約条件は採算が取れて、駅近で通いやすいことかな。予算は企画が具体的になってからで、まずは何をやるか決めろって話になってる。」
Bさん「個性的なカフェで、駅近で通いやすいところだね。ニッチなものは駅から多少遠くても顧客が来るだろうし、ニッチなコンセプトより一般受けするものがいいかもな。」
ブレイクダウンして絞り込む
Bさん「目的と制約条件が決まったので、ここから考えられるアイディアをドンドン出して行こう。そうすれば段々具体的になっていくよ。」
Aさん「個性的だけどニッチ過ぎなくて、採算が取れるくらいに客が入るとなると、メニューを工夫した方がいいのかな。うちの会社は飲食チェーンだし。」
Bさん「メニューの開発部門はあるでしょ?メニューの方向性、例えば珍しいとかお洒落、特定の食材を決めて、開発部門に相談すればいいと思う。」
Aさん「カフェと言えばコーヒーとかラテだけど、あえて紅茶を充実させてみるのはどうかなと思った。ファミレスでは紅茶の種類も多くて、仕入先はあるんだ。」
Bさん「そうそう、その調子で出せるアイディアをドンドン出して行こう。紅茶だけでなくドライフルーツティーという珍しいお茶も世の中には存在するよ。」
Aさん「なるほど。珍しいお茶を色々と取り揃えてみようかな。」
Bさん「まずはこうやってドンドン出せるだけアイディアを出すんだ。それからグループ化して絞り込む。」
Aさん「そうだ、セントラルキッチンを使ってランチを出してもいいんじゃないかな。駅近ならランチの需要もあるから。」
Bさん「それもいいね。採用するかどうかや実現できるかどうかは置いといて、アイディアは出してみることが大事だから、ドンドン出そう。」
Aさん「しかしこれだと個性が足りないかなぁ。〇〇風が欲しいかな。」
Bさん「お茶で勝負するなら貴族の屋敷風とか中世風の内装もありじゃないかな。」
こうしてAさんとBさんはアイディアを出して絞り込みました。その後Aさんは新店舗の案を資料にまとめて、上司に提出しました。
終わりに
今回は答えのない仕事でストレスが溜まっている方のために、どうやって進めればいいかを私のマネジメント経験から解説しました。
私自身も、顧客が抱えている課題に対して、解決策を幾度も考えては実行してきました。そういう仕事は答えがなくて選択肢も見つからないようなものばかりでした。
それでもやってこれたのは、今回紹介したようなやり方をしたからです。むしろ答えのない仕事をするうちに固まってきたやり方とも言えます。
あなたも答えのない仕事で今回紹介したやり方を試してみてください。悩むよりはまず情報収集と実験です。