変革も改善活動も最初から100点満点を目指さず継続的に取り組もう
何事も理想と現実は違うものですが、仕事においても同様です。変革を行うぞ!とか、この非効率な業務を全てIT化して効率を上げるぞ!と意気込んでみたものの頓挫してしまうという例はありがちです。特にシステム開発などは数年計画で数億円をかけて失敗ということがよく起こります。
今回は変革や改善活動を頓挫せずに高確率で実施する方法を解説します。実際に私がハーバード・ビジネス・レビューでいくつもの事例を読んでみて、多くの事例に共通していると感じたことです。そして自分の仕事でもやっていることです。
今回の対象読者は下記のような方々を想定しています。
- 高い理想を掲げて変革や改善に取り組んでみたものの挫折した方
- うちの会社はプロジェクトがよくコケると感じている方
- 変革プロジェクトを任された方
- 業務が非効率過ぎて改善したいけど、アプローチで悩んでいる方
それでは始めましょう!
100点満点を求めた計画は頓挫しやすい
何事もすぐには変わらない
人力で手間がかかっている作業を全自動にできたらとか、新しい業務プロセス、新しい組織文化に一新できたらと思うことはあるかもしれません。
しかしこうは思っても、こうあるべきと思っても、すぐには実現できないのが現実です。
いきなり全自動、いきなり全業務刷新とはいきません。いきなり機能満載の新システムに変えるのも無理があります。
大きな計画は頓挫の元
システム開発プロジェクトの頓挫も、全てをいきなり一新しようと大規模な開発をビッグバンでやるために起こります。巨大な機能のシステムを一気に作り上げ、業務を全て一新しようというのが無理があります。
アジャイルの入門書として有名なアジャイルサムライという本に、凄腕のプロジェクトマネージャーにプロジェクトを失敗させない方法を聞いた話が書かれています。なんと6か月を超える大きなプロジェクトをやらないことだそうです。
アジャイルサムライ 達人開発者への道 [ ジョナサン・ラスマセン ]
ダイエットも同様です。いきなり10kg痩せるという目標を立てて頑張っても、1か月もあれば挫折するには十分でしょう。1か月あたり1kgなど着々と少しずつ無理なく痩せる方が現実的です。
このように大きな計画は頓挫しやすいので、いくつかの段階に分解した方がよいです。最近は大規模なシステム開発でも、3つくらいのフェイズに分けて開発を行うケースがあります。この方がまだ現実的ですね。
小さく始めて成功体験を積む
小さく始めればハードルが低い
ハーバード・ビジネス・レビューには何度も変革の事例が登場しています。成功例としてよくあるパターンは、小さく始めて徐々に大きくしていくというアプローチです。
もちろんリストラのように会社の業績が悪化して待ったなしの状況では、トップダウンによる大変革も仕方ないです。しかし多くのケースでは小さく始めて徐々に拡大しています。
小さく始めるなら、少ない人数と少ないコストで始められます。簡単なプロトタイプでもいいのです。試しに一部だけ効率化してみる、試しに試作品を作ってみるでいいのです。これならハードルは低いですから。
そして成功体験さえできれば、当事者たちすなわち変革や改善を実施する担当者たちに自信が芽生えます。周囲の人にも何となくできそうという空気感が伝わります。
小さく始めて成功する方法が存在している
幸いにも小さく始めるためのマネジメント手法は存在しています。アジャイル、リーンスタートアップなどです。私も過去に前例がない場合のマネジメントとして、小さく始めてみることを書いています。
まずは小さく始めて成功体験を積むことです。そしてやればできそうという空気感を作ることです。空気感は大事です。どうせ無理、ダメという空気感では上手くいきませんし、社内からそういう目で見られたら辛いでしょう。
だからこそ小さく始めて成功体験を積み、やればできそうという空気感を作ります。下記のようなことをまずは取り組みましょう。
- プロトタイプを作る
- 人力の一部をシステム化する
- 一部の業務で不要な作業を洗い出して止める
- 新製品を一部の地域でテスト販売してみる
- 新製品を一部の顧客に試用してもらう
徐々に広げていく
小さな成功を実現したら、徐々に発展させていきましょう。ここで一気に拡大したり、一気に大きな計画を立てたりしてはいけません。堅実に確実に拡大していきましょう。軌道に乗り始めたら人員や予算を増やしてもいいでしょう。
徐々に広げていくというのは下記のようにしていくということです。
- システム化の範囲を広げる
- 見直す業務の範囲を広げる
- より広い地域で新製品を販売してみる
欲はかかず、大風呂敷は広げず、着々とやっていきましょう。堅実に確実にです。実績が上がるにつれ、社内でも認められていくでしょう。やればできるという空気感を少しずつ社内に広めていきましょう。
継続する
徐々に変革や改善が進んできたら、継続していくことが大事になります。ダイエットだって継続できないから頓挫するのです。変革や改善もゴールまでの道のりは長いです。何年もかかります。だからこそ粘り強く継続することが大事なのです。
一度に全てを変えるのは無謀であり無理がありますが、継続していけば大きなことができます。システム化の範囲は拡大し、多くの業務が改善され、新製品も認知されます。
企業は1日にしてならず、継続は力なりです。このことを肝に銘じて頑張りましょう。
終わりに
今回は大きく始めず、小さく始めるということを解説しました。理想と現実は違いますので、できない理想を掲げるよりも、できることをしていきましょう。
マネジメント手法は日々色々と研究されています。ビジネス上の問題はどんどん複雑化していきますが、様々なビジネス上の問題に対して何かしらの解をマネジメントは提供してくれます。