非デザイナーがデザインを学ぶために知っておくとよい3つの心構え
非デザイナーすなわち本職がデザイナーでない方がデザインを学ぶにあたって、最初に知っておいてほしいことがあります。今回はそれを解説します。
デザインは特殊な分野であり、デザイナーでないと考え方や専門知識を知らないケースが多いです。それゆえセンスという言葉も蔓延っています。
それゆえこの記事では非デザイナーのために、知識と言う形で解説します。センスがないからと諦めないでください。
デザインの世界は面白いですし、学べば得することが沢山あります。挫折せずに学ぶためにも、最初にデザインの考え方を知っておくとよいです。
センス=インプットと思おう
まずは非デザイナーがデザインに対して思うことの代表であろうセンスについて解説します。自分はセンスがないからデザインができないんじゃないか?と思う非デザイナーの方は安心してください。
デザインにはセンス=特別な才能が必要という一般的なイメージがあります。しかしそれは間違いです。
これからデザインを学ぶ方は、センス=インプットと思いましょう。プロのデザイナーでも、センスはインプットだという意見があります。
例えばくまモンや相鉄、中川政七商店のデザインを手掛けるデザイナーは、センスは知識だと言っています。
そもそもクリエイティブワークはインプットなくしてアウトプットなしです。MIDナレッジ・ワークショップにはクリエイティビティ講座もあるのですが、こんな記事を書いています。
自分には才能がないからデザインができないではなく、まだ知識が足りないからデザインができないと思うようにしましょう。その方が諦めなくて済みますし、これから身に着けようという気にもなれます。
デザインとは誰に何をどうやって伝えるか
デザインの本質はヴィジュアル面の追求ではない
デザインとはカッコいいものや美しいものを作ることではありません。そういうヴィジュアル面の美の追求は確かにありますが、それは手段であり目的ではないのです。
デザインは誰に何をどうやって伝えるか?です。これが本質的な部分です。相手も決まってなく、伝えたいものもなく、ただカッコいいものを作りたいというのはデザインではなく自己満足の製作です。
アートに近いかもしれませんが、自分が表現したいことのウェイトが高いアートだって、伝えたいものがあるはずです。
似たようなことは入門書として人気が高いなるほどデザインという本にも書かれています。
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つまり非デザイナーは無理してカッコいいものを作ろうとしなくていいのです。伝えたいターゲットに伝わるかどうかを第一に考えましょう。
デザインの例
ここまで解説したように、デザインをするということは、伝えたい相手に伝えたいことを伝えるために、適切な表現を選択するということになります。例を挙げてみます。
【例1】旅行に行きたい人に、旅行の解放感を、地方の観光名所の風景を見せることで伝える。こうして本人が旅行先に行っているシーンをイメージさせて、旅行に行きたいという気持ちを喚起する。
【例2】和食を食べたい人に、和食屋の魅力を、明朝体のような日本っぽさを感じるフォントを使った看板やメニューと和風な内装で伝える。こうして和食屋らしさを感じてもらい、和食屋らしいお店で雰囲気を味わいながら和食を食べてみようと思ってもらう。
このようにデザインはただカッコいい、ただ美しいではないのです。ターゲットに対し、何を伝えたいのか?そしてそのためにはどんな表現が適切なのか?これを考えて実現することがデザインです。
プロのデザイナーはターゲットや伝えたいことというクライアントの要望に対して、表現の引き出しが豊富であり、なおかつ表現に対する説得力があるのです。デザイン雑誌を読んでいると強くそう感じます。
参考までに、クリエイティブワークにはプロセスが存在します。デザインももちろん、いきなり作るのではなく、上記のように誰に何をどうやって伝えるのかをよく検討してから表現や媒体を選択していきます。
プロのデザイナーの仕事のやり方を学ぶには、デザインノートという雑誌がお勧めです。プロのデザイナーがディレクターという立場で、要件定義から設計、制作、テストまでの工程を経て作品を完成させるまでの流れを、事例として読むことができます。
デザインのメイキングマガジン – デザインノート ON THE WEB
初心者のうちは何事も真似事からです。守破離という言葉もあるわけですし。よって初心者はプロが使っている知識やプロのやり方を学んだ方が速いです。
理論、分析、実践を繰り返すことで上達する
デザインには形式知があります。よってこれを身に付ければデザインができるようになると考えられます。実際には知識を身に着けた上で、手を動かして作ってみることが必要です。どんな知識でも同様ですよね。
フォント、レイアウト、色がデザインの3大要素です。この3種それぞれの知識を身に付けることで、他人が作ったデザインを見るときに分析ができるようになります。誰がターゲット?何を伝えたい?表現から分析してみましょう。
先ほどは手を動かして作ることが必要と書きました。最近は写真やイラストの素材がインターネット上に充実しています。よって作るときは活用しましょう。素材は便利ですし自作すると時間も労力もかかります。
デザインの形式知を学べる入門書もあります。デザイン入門教室という本なのですが、解説が丁寧で、デザインの基本知識がしっかりと解説されています。デザイン初心者に是非読んでいただきたい本です。
デザイン入門教室 [特別講義] 確かな力を身に付けられる ~学び、考え、作る授業~ (Design &IDEA) [ 坂本 伸二 ]
上記を実践するとデザインの考え方が身に付く
以上のことを実践していくと、デザインの考え方が解ってきます。すると「ここは注意を促すので赤字かつ太字で」とか、「高級感を表したいから細いセリフ体を使おう」、「明るい雰囲気を表すためオレンジ系の色を中心にしよう」など、デザインを考えるときに適切な表現が思いつくようになります。
またそうなってくると、打ち合わせ時にも説得力のある意見を言えるようになります。
終わりに
今回は次のようなことを意識すればデザインスキルは上達することを解説しました。
- センスという特別な才能ではなく知識であること
- 知識を学んだ上で、手を動かして作ること
- 他人が作ったデザインを分析すること
デザインの学習について希望を持っていただけたでしょうか?センスなど気にせず、知識を身に付けて、デザインができるようになってください。