ウォーターフォールとアジャイルの違いを旅行に例えて解説
昨今はすっかりアジャイルという言葉が普及してきました。ハーバード・ビジネス・レビューを読んでいてもアジャイルを活用した事例がよく登場します。
かつてのようにキッチリした計画を立てて、順を追って達成していくというウォーターフォール型のプロジェクトの進め方は減っていくでしょう。そしてアジャイルのように反復型で都度都度優先度を見て対応していくプロジェクトの進め方が増えていくでしょう。
今回はアジャイルって何?という方や、ウォーターフォールとアジャイルの違いを社内の偉い人や部下、後輩などに説明する必要があるという方向けに、ウォーターフォールとアジャイルの違い、そしてそれぞれが適しているケースを解説します。
ウォーターフォールの方が適しているケース
ゴールとプロセスが解ってるならウォーターフォールが速い
IT業界ではウォーターフォールは時代遅れでアジャイルがモダンと感じている人もいるかもしれません。現実にはそんな単純な話ではありませんが、私はアジャイルのプロジェクトの方が好きです。
では本題に入りましょう。ウォーターフォールの方が適しているのは、ゴールとプロセスが解っている場合です。
何を達成すればプロジェクトは完了なのか、そのためのやり方は何なのかが解っている場合は、アジャイルよりもウォーターフォールの方が最短距離でゴールにたどりつけます。
ゴールとプロセスが解ってるならアジャイルだと遠回り
逆にアジャイルでは行ったり来たりして、時間がかかってしまいます。アジャイルでは試行錯誤をして回り道をしてしまうことになるのです。
例えば夕食を作る際に、レシピが手に入るメニューであれば、レシピ通りに食材を仕入れて作ればいいのです。レシピが手に入る料理は、ゴールもプロセスも解っています。こういう場合はウォーターフォールの方が適しています。
アジャイルの方が適しているケース
ゴールもプロセスも解らないならアジャイル
続いてアジャイルの方が適しているケースを解説します。
ゴールが不明確、あるいは漠然としている場合や、やり方が解らない場合、やってみなければ解らない場合、やりながらプロセスを確立する場合はウォーターフォールよりアジャイルの方が適しています。
そもそもゴールもプロセスも解らない場合、キッチリした計画を立てることは不可能です。8割くらい当たるスケジュールを作るには、見積の範囲をとてつもなく大きく(例えば期間は3ヶ月~1年など)しなければいけません。
こういう場合は仮決めで計画を立てたところで、やってみたら判明することが沢山あって、計画からどんどんずれていきます。そして計画の変更が頻繁に発生してしまいます。計画の変更が頻繁に発生すれば、当初の納期やコストを簡単にオーバーしてしまいます。
よってゴールもプロセスも解らないような場合は、ウォーターフォールよりもアジャイルが適しています。むしろウォーターフォールでは無理があります。
そもそもアジャイルとは何ぞや?に関しては、アジャイルサムライという書籍が入門書として定番です。始めてアジャイルに取り組むマネージャー向けに、アジャイルの心構えと定番のプラクティスが紹介されている入門書です。
アジャイルサムライ 達人開発者への道 [ ジョナサン・ラスマセン ]
ゴールもプロセスも解らないケースの例
ではゴールもプロセスも解らないケースとはどのようなものがあるでしょうか?いい例が新規事業や新製品、変革です。そもそもアジャイルは製造業が新製品開発に使っていたラグビーのスクラムのような開発方法をソフトウェア開発に応用したものです。よって新製品開発や新規事業とは相性が良いでしょう。
新規事業や新製品、変革など前例がない活動に使えるマネジメント手法はアジャイル意外にも色々あります。
アジャイルを採用する際の注意点
アジャイルにすればいいという意見を聞くこともありますが、そんな単純な話ではありません。アジャイル以前の問題、例えばマネジメント力が低い、手段の目的化、流行に流されているなどの問題が世の中には存在していますのでご注意ください。
これらの問題については別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。
旅行の例
ウォーターフォールの例
東京から札幌に行く場合を考えてみましょう。
目的が決まっているため、後はルートを調べるだけです。多くの人は新幹線と飛行機それぞれの料金と所要時間、出発時刻と到着時刻などを調べて、どちらがいいか判断すると思います。
それからどこの駅や空港で乗換が必要なのか、どの時刻の便に乗って行くかなどを調べると思います。
いずれも調べれば解ることです。目的地も決まっていて、手段が調べれば解ることであれば、ウォーターフォールのようにしっかり計画を立てた方が無駄が少ないです。
私は毎年のように旅行に行くので、旅行に例えてみました。みなさんはご自身が好きなことで例えてみてください。ちなみに私が旅行に行くときは楽天トラベルを使っています。単純に掲載数が多いですし、割引されているプランもあります。
アジャイルの例
札幌観光を考えてみましょう。先ほど解説したように、ゴールとプロセスが解っている場合はウォーターフォールの方が速いので、東京から札幌へ行くことをアジャイルで考えることはしません。
ちなみに観光したい場所がピンポイントで決まっているなら、ウォーターフォールでしっかりと計画を立てた方が無駄がないです。
このエリア一帯で気になる所を色々見てみようという考えだったら、アジャイルがいい可能性があります。面白ければ時間をかければいいですし、思ったより早く見終わったなら別の場所に行けばいいのです。1時間を1イテレーションとして行動してみましょう。
ただし旅行に行く前に候補地をバックログに積んでおきましょう。そして状況に応じてバックログの中から選択していきましょう。例えば近いとか、今だけの限定イベントがあるという理由で選択してもいいですし、今は混み過ぎているから今回は断念しようなどです。
仕事のプロジェクトをアジャイルでやると、1回のイテレーションが1週間か2週間であることが多いですが、旅行では1時間か半日などかなり短くなります。イテレーションの長さは、やりたいことをこなしつつ柔軟に変更が可能な長さにしましょう。
終わりに
新しく学ぶことは身近なものに例えると解りやすいです。だから今回はアジャイルにこれから取り組む方や、アジャイル未経験者にアジャイルを教える立場の方を対象に、アジャイルの解説記事を旅行に例えて書きました。
最近はアジャイルの本が増えたと思いますが、一番基本の入門書としてはアジャイルサムライが定番でしょう。気になったら読んでみてください。