マイクロマネジメントをする上司の最大の特徴は自分に自信がないことだ

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マイクロマネジメントをする上司は自信がない

マイクロマネジメントって嫌ですよね?私は大嫌いです。

マイクロマネジメントをする上司はあれもこれもダメダメうるさく、自分の思い通りに行かないとすぐに機嫌を損ねるのです。とても大人とは思えませんし、子どもかよ!と言いたくなります。

しかし最近面白い論文を読みました。なんと上司がマイクロマネジメントをするのは自信がないからだというのです。

マネジャーは不安ゆえにマイクロマネジメントに陥る あなたは部下を信頼できているか | ジュリア・ディガンジ | [2024年4]月号|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

今回はマイクロマネジメントをする上司の特徴、そしてマイクロマネジメントがいかに悪いことかを解説します。

そしてマイクロマネジメントとは対極のやり方、しなわちマイクロマネジメントが大嫌いなプレイングマネージャーである私と、私ができると感じている上司や先輩の特徴や実践しているやり方を解説します。

マイクロマネジメントに疑問を抱いている方は勿論、管理職やプロジェクトマネージャーになったもののマイクロマネジメントはしたくない、マイクロマネジメントじゃない方法で成果を出したいという方にも参考にしていただければ幸いです。

またマイクロマネジメントをするような嫌な上司を反面教師にするという記事も書いています。こちらも参考にしてみてください。

マイクロマネジメントとは

こまめに報連相を求める

マイクロマネジメントの解りやすい特徴はこまめに報連相を求めることです。

酷い上司になると1時間毎に進捗を確認し、説教してきます。これでは仕事が進むわけがないのですが、進まないのをやる気や根性がないと怒るのです。お話になりません。

そしてマイクロマネジメントをする上司は起きたことを何でもかんでも細かく報告しろと言います。なんでもないちょっとしたことまで細かく報告させます。ちょっとミスをして15分くらい作業が遅れたとか、どちらでも結果にあまり影響しない選択肢をAかBかで悩んでいたなどです。

さらにはあらゆる作業に対して、作業手順を都度都度書かせたり、報告内容について細かい説明を求めたりします。これでは仕事が進みません。

かといってこれで仕事が遅れればやる気や根性、能力がないと怒ります。マイクロマネジメントをする上司は理不尽極まりないです。

やり方まで細かく指示する

マネジメントをする上司は仕事のやり方を細かく指示します。

「俺の方が経験豊富だから俺のやり方が正しい」とか、「普通はこうあるべきだろ」などと言って、自分と違うやり方には説教をし、自分のやり方を押し付けてきます。

おかげさまで毎回毎回自分の作業手順を上司が考える作業手順と答え合わせして100点満点を取らなければいけません。これでは時間がかかってしょうがないです。

進捗を細かく管理する

マイクロマネジメントをする上司は1時間毎など細かい単位で進捗を確認します。そんなに細かく報連相を求め、やり方まで細かく指示していたら、1時間単位でまともな進捗を出すことは不可能です。

そんなことお構いなしにマイクロマネジメントをする上司は細かい進捗確認を求めてきます。しかも遅れても説教するばかりで改善策を考えません。むしろ改善策がもっと頑張れとか残業でカバーしろです。

進捗管理とは本来は進んでいるか遅れているかを確認することではありません。また遅れを根性や残業でカバーすることでもありません。

むしろできる上司は細かい確認などしません。これは進捗管理をしていないのではなく、進捗管理を解っているから非効率につながることをしないだけです。

進捗管理とは進捗を確認することではなく、進捗を出せるようにすることです。進捗の確認はもちろん必要ですが、私からすればWBSの作業が1つとか1日という単位が最も細かい単位です。数日ずつの確認も普通です。

進捗管理で大事なことは、進捗を出す上で障害となる問題を早めに発見して手を打つことです。つまり進んでいるか遅れているかよりも、進捗を妨害する問題を発見することが先決です。

だから問題は即座にその場で議論すべきです。しかし進んでいるか遅れているかの確認は日単位でも十分だと私は考えています。

私が考えるやり方だと、基本的に進んでいるか遅れているかの確認は1日1回で、進捗を妨げる問題は発生した時点で伝えてもらうのがいいです。問題さえ潰せていれば、仕事は進んでいきます。

頻繁に重箱の隅をつつく

マイクロマネジメントをする上司は頻繁に重箱の隅をつつきます。

先ほどの自分のやり方でないと認めない件もそうです。ちょっとでも自分が考えるやり方と違えば解っていないなどと文句をつけます。

またマイクロマネジメントをする上司は誤字脱字にもうるさいです。体裁をものすごく気にします。細かいところまで何でもかんでも100点満点でやるべきという考え方をしており、そのためには残業をいくらでもしろなどと言います。

マイクロマネジメントをする上司は全ての仕事を100点満点でやるべきと考えており、1点でも足りなければしつこくつついてきます。だからあらゆるツッコミを想定しなければいけなくなります。面倒なことこの上ないですし、準備に時間がかかりすぎます。

人がマイクロマネジメントをする理由

最大の理由は自信がないから

冒頭でも紹介しましたが、ハーバード・ビジネス・レビューに、マイクロマネジメントをする上司は自信がないという論文が載っていました。

この論文では上司がマイクロマネジメントをする理由は不安で自信がないからだと指摘しています。そして昨今は20世紀的な指揮統制型のマネジメントよりも、21世紀型の部下を信じて任せるマネジメントの方がよいこと、そういうマネジメントへ移行するためのポイントが解説されています。

マネジャーは不安ゆえにマイクロマネジメントに陥る あなたは部下を信頼できているか | ジュリア・ディガンジ | [2024年4]月号|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

これを読んで私はなるほどと納得しました。なぜなら自分のマネジメントに自信があれば、マイクロマネジメントなど不要だからです。

つまり次のような理由があるからマイクロマネジメントをしてしまうのです。

  • マネジメントの知識がない
  • いつも仕事が上手く進まない
  • 頻繁に進捗遅れが発生する
  • 部下が自分の思い通りに動かない
  • 部下が自分の思い通りの成果物を作れない

しかしこれでは北風と太陽の話みたいですね。マイクロマネジメントをする上司は、部下が自分の思い通りに仕事できないから進捗遅れが発生するため、ますます部下をコントロールしてしまうのです。

これでは悪循環に陥るだけです。

優越感に浸りたいから

マイクロマネジメントをする上司を見ていると、自分が優れているとか自分は頑張っているという人が目立ちます。あるいはお前の方が劣っている、お前は頑張っていないという人も目立ちます。

特に俺は凄いんだぜアピールをする人が目立つと感じます。中には私が重要なことに気付く度に「どうせ俺はバカだよ!」とふてくされて出て行ってしまう人もいましたが。

わざわざ自分を優秀とか頑張っているという人は、本人なりには頑張っているのでしょう。しかしそれでも本人が思うような結果を得られていなくて不満があるのだと私は考えています。

そういうのもあってわざわざ自分は優れていると言いたがるのでしょう。

自分は優れているから自分のやり方は正しいと思うのは勝手ですが、そんなのは自己満足でしかありません。

自分の思い通りにいかないと嫌だから

マイクロマネジメントをする上司は何でも自分の思い通りにいかないと怒ります。

マイクロマネジメントとは部下を細かく管理することです。つまり部下に自分の思い通りに動いてほしいのです。

しかし部下だって一人の人です。機械やコンピューターじゃありません。よって思い通りに動かそうという方がおかしいのです。

人に動いてほしければ、返報性の法則というものがあるように、相手の立場や都合を考えなければいけません。そのためにはカーネギーの人を動かすに書かれているような、相手をいい気分にさせる言い方や、アサーションのような相手に気を使った言い方が必要になります。

人を動かす文庫版 [ デール・カーネギー ]

アサーション入門ーー自分も相手も大切にする自己表現法【電子書籍】[ 平木典子 ]

マイクロマネジメントをする上司が人を細かく管理したがる理由としては、仕事を思い通りに進めたいからということが考えられます。このような理由は上司のようなマネジメントをやる立場の人なら当然でしょう。

しかし仕事を思い通りに進めるために必要なことは、人をコントロールすることではなく、計画力や先を見通す力、臨機応変に対応する力、問題解決力などです。

人はコントロールするものではなく、力を貸してもらうものです。こう捉えた方が、部下にとってもやりやすいはずです。

他人を信用していないから

マイクロマネジメントをする上司は他人を信用していない可能性があります。

そもそも部下を信用できるなら、仕事のやり方を細かく指示する必要はありませんし、細かく報連相を求める必要も、細かく進捗管理する必要もありません。

部下を信用しているなら任せて自由にやらせるはずです。少なくとも私はそうしています。

部下を信用できるかどうかは、部下が優秀かどうかではありません。上司が的確な指示を与え、必要な知識や情報を与えられるかどうかです。それさえできていれば、部下は仕事を進められます。

これは部下に限らず、下請けなどの協力会社に仕事を依頼するときも同じです。依頼内容を明確にし、必要な情報を与える必要があります。

そうでなければ認識違いをいくつも起こしてやり直しが頻発しますし、いずれ協力会社の方もやってられないと感じて投げやりな仕事をするようになります。

マイクロマネジメントをするということは、他人がちゃんと仕事しないと考えているということです。他人を信用できればマイクロマネジメントなんて必要ありません。

そして他人を信用できるかどうかは他人のスキルや経験ではなく、自分の指示や依頼の出し方が上手いか下手かなのです。

マイクロマネジメントをする上司の特徴

最大の特徴は自分に自信がない

冒頭でもDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの論文を紹介しましたが、マイクロマネジメントをする上司は不安で自信がないという指摘に私は同意します。

マネジャーは不安ゆえにマイクロマネジメントに陥る あなたは部下を信頼できているか | ジュリア・ディガンジ | [2024年4]月号|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

マイクロマネジメントをする上司がいたら、この人は自分のマネジメント力に自信がないから部下や協力会社のせいにしているんだと思いましょう。

何度も言いますが、自分のマネジメント力に自信があれば、マイクロマネジメントなどしません。むしろマネジメント力がある上司は、部下が自力で進められるような環境を整えます。

権力を信奉している

マイクロマネジメントをする上司は権力や立場の強さを活かして自分を守ります。

そもそもマイクロマネジメントなんて嫌われることを堂々とできている時点で、立場さえ強ければ大丈夫と考えていることが明らかです。

仕事の世界には立場の上下関係がどうしても存在します。上司と部下、元請けと下請けが代表的な例です。

マイクロマネジメントをする上司はこの上下関係をよく解っているからこそ、部下や下請けに対して強く当たることができます。

部下の立場からすれば、上司が嫌だからと上司とケンカすれば、自分の立場が危うくなることは明らかです。評価は下げられるし、最悪の場合は左遷やクビでしょう。クビとは言っても、解雇になることは少なく、自己都合退職の勧奨をされることになるでしょう。

根性論が好き

マイクロマネジメントをする上司は「仕事なんだからつべこべ言わずにやれよ」とか、「社会人としての常識だ」、「口答えするんじゃない」などというセリフをよく言います。

またマイクロマネジメントをする上司は残業賛美の人も多く、時間を気にせずにいくらでも残業します。「残業しないヤツは甘えている」などと言う人もいます。

根性論で仕事は上手く行きません。これはマネジメントの論文を読んでも明らかですし、私自身が長年に渡ってマネジメントをやってきた経験からも明らかです。

マネジメントを上手くやるためには知識と思考力が必要です。

形にこだわる

マイクロマネジメントをする上司を見てみると、形にこだわる人が多いです。

重箱の隅をつつくなどは一番いい例です。どうでもいい体裁や見てくればかりにこだわって100点満点を取ることを求め、一々説教します。

そうでなくても、全てのタスクを100点満点でやろうとし、それこそがキッチリ仕事ができる証拠だなどと言ったりします。これでは時間がいくらあっても足りません。

その他にもマイクロマネジメントをする上司には、教科書論とか一般論に固執するという特徴もあります。こうあるべきとか、これが普通ということにこだわるのです。

しかし仕事は案件ごとに事情が違います。だから一般論を各案件に適用する必要があります。また時間や人、お金などのリソースは限られるため、タスクを取捨選択する必要もあります。

性悪説で決め付ける

マイクロマネジメントをする上司は、部下は怠惰であると決めつけてきます。

細かく進捗管理し、細かく報連相を求めるということは、常に監視していないと部下がサボると考えているからです。部下がサボらないように必死に関ししているとも言えます。

また部下がミスをしたときも怠惰だからミスをすると考えます。そして長い説教をすることでミスをするのは悪いことだと徹底的に植え付け、ペナルティを課し、始末書を書かせます。

マイクロマネジメントをする上司は、人は怠惰だらこそ厳しい叱責やペナルティによって二度と同じことをしないように思い知らせなければいけないと考えています。

このようなやり方では部下は不満が溜まってしまいます。叱責やペナルティを受けないために上司の機嫌を伺ったり、ミスを隠蔽したりするようになります。そしてこのような積み重ねが不祥事につながることもあります。

ちなみにこのように人は怠惰なものだと性悪説で決めつけることを、マグレガーのX理論と呼びます。

叱責で部下のパフォーマンスが上がることはありません。これについては詳細な記事を書いていますので、興味があったら読んでみてください。

マイクロマネジメントとは逆のマネジメント力がある上司の特徴

自分のマネジメントに自信がある

マネジメント力がある上司は、全体の計画や選択する技術やツール、プロセスが適切です。そして部下へ指示を出すときも、必要な情報や知識をしっかり提供します。部下からの相談にも気軽に乗ります。

マネジメント力がある上司は、気さくに話せる雰囲気を自ら出すことを大事にしています。こうすることで部下の方から気軽に相談しやすくしているのです。

これは一見、舐められやすく態度を取っているように見えるかもしれません。しかしあなたはいつもこ強面で一々文句をつけてくる上司と気軽に話せる上司、どちらがいいですか?質問や相談をすると怒る上司と、気軽に聞いてくれて的確なアドバイスをくれる上司、どちらがいいですか?

マネジメント力がある上司はマネジメントが解っているからこそ、細かい報連相や進捗管理をしなくても、スムーズに進む状態を作れるのです。また部下がパフォーマンスを上げやすい雰囲気を作ることもできるのです。

よって上司として大事なことは、マイクロマネジメントすなわち細かい報連相や進捗管理ではないのです。マネジメントの知識をしっかりと身に付けることが大事です。

そうすることでマイクロマネジメントなどに頼らずとも、仕事を上手く進める方法が身に付いて行きます。そして自信が付いてくるというわけです。

部下を信じて任せ、やり方に口出ししない

マネジメント力がある上司は部下を信じて任せます。部下に対して細かいことは言わず、部下にやり方を任せ、自由にやらせます。

私は自分自身が若い頃にマイクロマネジメントを受けまくったので、マイクロマネジメントをしないことを徹底しています。そして思い切って任せてみた方が上手く行くことも実感しています。

マネジメントの論文を読んでいても、部下に権限を委譲して、部下が自力で進められるようにした方が上手く行くという話が多いです。

信じて任せるということについては、大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメントという本に書かれています。建設現場には様々な業者が出入りしますが、そんな見ず知らずの人たちにどう対応するかというと、信じて任せるのだそうです。たとえ若手であってもです。

大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント【電子書籍】[ 白鳥 美子 ]

ただし信じて任せるとは言っても、必要な情報や知識は与えなければいけません。また相談されたら快く対応しなければいけません。信じて任せるというのは丸投げのようで丸投げではないのです。サポートは徹底するということだと私は考えています。

放任上司と過干渉上司という記事も書いています。こちらも読んでみてください。

根性論を嫌う

マネジメント力がある上司は根性論を嫌います。

ただがむしゃらに頑張っても、残業でカバーしても、上手く行かないことを解っているからです。むしろそのような事態になったらマネジメントが失敗しています。

マネジメント力がある上司は知識があります。計画に関しても、技術やツール、プロセスの選定に関しても、顧客や協力会社との調整に関しても、メンバーへの任せ方についても、知識を活用して上手くやります。

またマネジメント力がある上司は日頃から知識を磨くことに余念がありません。マネジメントは根性論ではできないことが明らかであり、膨大な知識が必要だからです。

だからこそマネジメント力がある上司は「仕事だからやれ」とか「つべこべ言わずにやれ」、「残業すればするほど偉い」なんて言いません。

性善説で人に接する

先ほどマグレガーのX理論を紹介しました。これにはY理論というものもあります。Y理論は性善説で、人は真面目に頑張るものだという捉え方をします。

マグレガーのY理論に則って、部下を信じて任せ、しっかりサポートするのがマネジメント力がある上司です。

あなたはやらされ仕事でペナルティだらけの職場と、自分を認めてくれて任せてくれ、失敗に対しても寛容な職場、どちらで働きたいですか?

この記事にたどりついたということは、マイクロマネジメントをする上司に疑問があるのでしょう。であれば後者のような職場で働きたいと思いませんか?私はそう思います。

ちなみに人を大切にする、つまり教育や裁量、やりがいなどに力を入れると、従業員満足度が上がっていい仕事をするようになり、結果的に顧客満足度が上がって業績も上がるというフレームワークが存在します。サービスプロフィットチェーンというものです。

マイクロマネジメントなんかより、人を育ててドンドン任せた方が、仕事が自分事化してモチベーションが上がるのです。こういうマネジメントこそが重要であり、できる上司は気付いています。

終わりに

今回はマイクロマネジメントをする上司は自信がないということについて書きました。

私自身、若い頃は時代もあったのかもしれませんが、マイクロマネジメントをする上司やプロジェクトマネージャーによく当たりました。そしてとてもやりづらくてストレス漬けになりました。

しかし上司やプロジェクトマネージャーはもちろん、同僚も仕事とはそういうものだと言いました。仕事は苦痛や忍耐が当たり前だと。

その考えにどうしても疑問があったので、マネジメントをする立場になってからは、自由や人を信じることを大事にしてきました。自分がされたら嫌なことはしないということを大事にしてきました。

マネジメントは仕事を上手く進めるために欠かせない仕事です。同時に膨大な知識も求められます。だからこそマイクロマネジメントなんて下らないことはしてはいけませんし、そうならないよう知識を磨くことを心がけたいものです。

あなたもマイクロマネジメントをする上司を反面教師にして、ご自身の仕事力を磨いて行ってください。

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