トラブルを未然に防ぐために懸念事項は速めに対処するに限る
今回もまた残業を減らすためのマネジメントについて解説していきます。今回のテーマは懸念事項への対処です。
懸念事項を放置しておくと、後で痛い目を見る可能性があります。そうなると長時間残業や休日出勤でカバーすることになり、コストも大きくかかってしまいます。問題は雪だるま式に大きくなるので、早めに対処しておくのがよいです。
仕事の進め方で悩むマネージャーや、いつもトラブルで残業が増えてしまうという方、残業を減らしたいという方は懸念事項への対処を意識してみてください。
懸念事項を放っておくと後で痛い目を見る
嫌な予感やグレーゾーンなことは後の方が大きくなる
もしかしたら○○(不都合なことやトラブルなど)が起きる可能性があることを放っておくのは止めましょう。今対処すればすぐにできるけど、後になると問題が大きくなるということも少なくないです。
問題というものは時間ととも、工程が進むとともに雪だるま式に大きくなっていくものです。火は小さなうちに消しておく方が安心です。後で火事になってからでは遅いのです。
具体的には下記のようなことは要注意です。後で大きな問題や厄介な問題にならないかよく考え、早めに対処しておいた方がよいです。
- この表現(絵でも文言でも)だと顧客は誤解しないか?
- 今合意を取っておかないと、後でひっくり返されないか?
- こういう事象が発生したら、このマニュアルで対応できるのか?
- こんなデータが入ってきたら、システムのこの機能はどう処理する?
2番目と4番目はありがちです。2番目は事前にやっておかないととても痛い目を見るありがちなことですね。4番目は影響が大きいなら検討しておきましょう。システムは考慮することが多いですし、考慮が甘いと後から残業地獄を味わうケースがとても多いです(IT業界では炎上とかデスマーチと呼んでいます)。
後で大きくなるからこそ先に潰しておく
後でひっくり返されるケースなどは作業自体が大きなやり直しとなります。そうなると工数が多くかかるため、大きなコストがかかってしまいます。
放っておいても大事にならないケースもあります。影響度が小さいことならそれでもいいでしょう。しかし影響度が小さくないことは、早めに対処しておきましょう。後になってからの方が面倒なことは多いです。
念には念を入れておくに越したことはない
社会人になりたての頃に、ちゃんと確認しろと言われたことがある方はそれなりにいらっしゃると思います。認識違いというのは多いです。念には念を入れて確認しておくと、認識違いの防止に大きく役立ちます。
後になってから「あれはどうだっけ?」とか、「しまった、確認していない!」は止めましょう。こういうことは起こりがちですし、私もたまにはやらかします。
しかし後になってから上司やお客さんに確認するのは気まずいです。今更何言ってるんだよと思われ、印象もよくありません。
できるだけ必要な確認事項はしっかり洗い出しましょう。そして前もって念には念を入れて確認しておきましょう。後になってからトラブルになるのを防ぐと同時に、キッチリしている人という印象も得られます。
後で問題が大きくなる事例
Aさんはシステム開発プロジェクトのリーダーです。システムを開発し、テストも終わりました。次は顧客の受入テストです。
しかしAさんには懸念事項があります。画面のデザイン、レイアウトについて顧客がどんな反応をするか不安がありました。しかしスケジュールにあまり余裕がないため、画面の実物を見せずにテスト完了を優先させました。顧客が持っている画面イメージは設計フェイズにExcelで見せた図です。実物の画面とはだいぶイメージが違います。
受入テストが始まって、いざ顧客に画面を見せてみると、イメージと違う、解りづらい、この文言だと誤解があるなどと言われてしまいました。
Aさんは前もってHTMLのデモページでいいから見せて意見をもらっておけばよかったと後悔しました。
実際にシステム開発ではウォーターフォール型開発の場合にこのようなことが起こりがちです。私は設計フェイズでサンプル画面による認識合わせを行うようにしています。
懸念事項の見抜き方
認識の齟齬が発生しうること
仕事において、認識の齟齬が発生しうることは多々あります。認識違いがあると、後でやり直しが発生したり、大きなものだとトラブルにつながったりすることもあります。
言葉や会話で伝わらなければ、図や絵で伝えることも必要です。色々な表現手段を使って、認識が確実に合うようコミュニケーションを取りましょう。
そして認識を合わせるためには粘り強く説明することも大事です。諦めず、色々な表現方法を用いて伝えたり理解したりしてください。
後でひっくり返される危険性があること
聞いていなかった、認識が違った、イメージしてたのと違うなどは後でひっくり返される要因としてよくあります。
認識を合わせておくのはもちろんですが、重要なことは伝え漏れないようにしておきましょう。同時に電話や口頭で伝えた場合は、メールやチャットなどで念のため確認として送りますというのもいいと思います。証拠にするとともに、念のため認識の齟齬がないか確認しておくことになります。人間はどうしても忘れてしまうことがありますから。
こちらが確認や伝達を忘れたあるいは間違えたことによるひっくり返しは未然に防ぎましょう。こちらから相手に対して気を使うと、トラブルを防ぐとともに仕事をしやすい人という良い印象も与えられます。
ただし鶴の一声のような、権力や政治力のある人によるひっくり返しはどうにもなりません。こればっかりはどうすることもできないので、事後対処でやるしかありません。予測も難しいですし。
不確定要素があること
不確定要素すなわちやってみないと解らないことは放置してはいけません。典型的な後で痛い目を見ることです。具体的には下記のようなことです。
- やってみないと工数がいくらかかるか読めない(例えば誰もやったことがない、会社として初挑戦など)
- 技術的に実現可能かどうかが試してみないと解らない
- 交渉が上手く行かないと実現できない
- 協力を得られないとできない
これらは事前に所要工数を予測することが困難です。ザックリこれくらいといったところであまり当たりません。よってできるだけ早く着手しておく方が良いです。後になってからでは期限まで時間が足りないということになりかねません。
終わりに
今回は懸念事項を早めに対処することについて解説しました。残業を減らすためには、後手に回らないよう前もって対処していくことが必要です。
また早め早めに事前対処で問題を解決していくと、残業を減らせると同時に顧客からの評価も上がります。メリットは大きいのでぜひ面倒くさがらずに取り組んでみてください。