ダメ上司は細かい、部下を育てられない、部下を守らない

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ダメ上司は細かい、部下を育てられない、部下を守らない

ダメ上司に対する不満は少なくないでしょう。私もダメ上司に当たったことがあるといえばあります。また直接当たっていなくても、これはダメだろという管理職を見たことはあります。

仕事の愚痴の定番と言えば、上司や会社の体質、嫌な同僚が定番です。上司に対する不満はきっと世の中に沢山あるでしょう。

今回はダメ上司について考えてみます。その中でも私がこの上司はダメだと感じた人がやっていたことを挙げます。細かい、部下を育てられない、部下を守らないの3つです。

その後で私ができると感じている上司や、私自身がやっていることを解説します。こうすることで上司の仕事や目指すところが解ると考えています。

上司がダメだ、上司に不満があるという方や、いい上司ってどんな人?という疑問がある方の参考になれば幸いです。

ダメ上司の問題点

細かい上司の問題点

ダメ上司は細かいです。いわゆるマイクロマネジメントをします。

マイクロマネジメントはとても非効率です。細かく確認したところで、進捗報告の時間ばかりかかり、仕事が進みません。結局残業で補うことになります。

また私の経験上ですが、細かい上司は誤字脱字や体裁などにうるさいです。重箱の隅をつつくような人が多いというか、そうでない人を見たことがありません。

ダメ上司は形式や見てくれに固執するのです。それゆえ100点満点を求めています。

仕事には細かくやるべきことも勿論ありますが、すべてを細かく100点満点でやる必要はありません。

仕事術の本でもまずは60点でいいとよく書かれています。他の人の意見をもらったり、上司にレビューしてもらったりすると、修正することになるからです。

誰でも100点満点の仕事は簡単にはできません。手間暇かけて成果物を作っても、レビューを受ければ修正は発生するのです。

こう考えると細かい上司の問題点は、非効率で残業が多いことになります。

部下を育てられない上司の問題点

部下を育てられない上司はダメ上司です。

しかし部下を育てるのは難しいことです。なにせ時間がかかりますし、教え方も考えなければいけません。

従来であれば部下は上司の仕事を見て技を盗むことで学ぶものでした。しかし時代は変わりました。もうそんな根性論は通用しません。

上司は人を育てることを学ぶ必要がある時代です。「俺について来い!」では部下は育ちません。それを「近頃の若いヤツは…」と言っても無駄です。

部下を育てられない上司は、チームのパフォーマンスを高めることができません。いつまで経ってもチームのパフォーマンスが平行線です。

これではいつまで経っても上司本人が忙しいままです。

部下を守らない上司の問題点

部下を守ってくれる上司はどの程度のいるのでしょうか?

たとえば顧客から無茶ぶりされたときに、顧客の言うことだから従えという上司は多いでしょう。私も実体験があります。

私が体験した例ですと、細かくて残業が多い上司は1人の例外もなく、「お客様は神様」とか「お客様がおっしゃることは絶対」、「お客様が黒と言えば白も黒になる」と言っていました。

ダメ上司は顧客の無茶ぶりに対して、何が何でも応えろと部下に言うのです。部下を守るよりも顧客の言いなりになります。

その他にも部下が失敗して関係者への謝罪が必要になったときに、「お前のせいで問題が起きたじゃないか!」と説教する上司も多いでしょう。普通はそうなりますよね。

私が体験したダメ上司も、1人の例外もなくそのように説教してきました。

上司という人たちは中々部下を守ってくれないものです。ましてやダメ上司となればなおさらです。しかしこれでは部下は辛いです。

勿論ちゃんと守ってくれる上司はいますし、私も顧客とプロジェクトメンバーのどちらかを取れとなったら、プロジェクトメンバーを優先することが多いです。

部下を守らない上司は、部下に次のような問題を発生させる可能性があります。これらは部下にやる気や根性があるかないかという問題ではありません。

  • 部下のモチベーションが下がる
  • 部下がメンタルを病んでしまう
  • 部下の離職率が上がる

ダメ上司の問題点が発生する理由

ダメ上司が細かくなってしまう理由

細かい上司はなぜ細かいのでしょうか?

実はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューにその理由を解説した論文がありました。自信がないからだというのです。それを読んで私自身の実体験も含めて記事を書いてみました。

細かい上司は自分のマネジメント力に自信がないのです。だから仕事がQCDを守れるか不安で、部下に細かく言いつけたり、細かく進捗確認をしてしまったりするのです。

また管理という言葉もよくないと私は考えています。

マネジメントは人を管理する仕事ではなく、人に任せる仕事です。管理という言葉では、人をコントロールすると感じられます。

管理という言葉では、上司は自分の仕事は部下をコントロールすることだと感じてしまいます。

その他にも、今の上司世代は説教が当たり前の環境で育ったという理由もあると私は考えています。

近年でこそ説教はできるだけしない方向になってきました。しかし今の中高年世代は子どもの頃から学校で先生に説教され、会社で上司に説教をされて育ってきました。

だから今の上司世代は細かくうるさく部下に言ってしまう慣習が染みついている可能性はあります。真相の部分なので自覚は難しいのですが。

ちなみに説教は近年は減っていますが、それは正しい方向性です。もう根性論の時代じゃないのです。説教はマイナスの効果ばかりであることが、今では解っています。

ダメ上司が部下を育てられない理由

ダメ上司は人をコントロールして働かせることに注力しています。つまり目の前の仕事を回すだけで精一杯なのです。

私の経験上、また上司の愚痴を聞いた範囲でも、人材育成に積極的な上司は中々見かけません。

人を育てることよりも、仕事を終わらせることの方が優先なのは仕方ないところです。ましてやダメ上司は残業が多いですから、人を育てる余裕なんてありません。

むしろ「場数踏んで身に付けろ!」とか、教えもしないで「なんでできないんだよ!」と怒る上司もいます。私もこういう上司に当たったことがあります。

さらにはこのような上司がいる会社で、ある人が社内勉強会を開いたら、「そんなことやって何になるんだ?売上が増えるのか?増えないなら無駄だ!」と言われたそうです。

この話からも、仕事を終わらせて売上を立てるという目先のことしか見えていないことが解ります。

他にも会社は学校じゃないという意見もあります。確かに従業員は教わるために会社に来ているわけではありません。しかし後ほど解説しますが、これも考え直した方がいいと私は考えています。

ダメ上司が部下を守らない理由

ダメ上司が部下を守らない理由は、部下は守る対象ではなく、仕事を完了させるために使う存在だと考えているからです。

ここでも私は管理という言葉がよくないと感じています。管理という言葉では、部下はコントロールする対象です。これでは成果のための道具です。

またダメ上司は怒って言うことを聞かせようとします。「俺の言うことを聞け!」となるわけですね。勿論命令違反にはとても厳しいです。

しかし怒りや命令、権力で人を動かすことはできません。人を動かすという本を読むとよく解ります。

人に動いてもらうためには、それ相応の対応が必要です。決して脅しや怒りではなく、むしろ丁寧で相手を尊重したコミュニケーションが必要なのです。

それが人を動かすという本に書かれていますので、是非読んでみてください。

人を動かす文庫版 [ デール・カーネギー ]

それから人は多くの人が自分が可愛いので、自分を優先したがります。だから何かあったら、ダメ上司は立場の強さを活かして部下のせいにします。

私もダメ上司から、部下が使えないとか思い通りに動かないという愚痴を何度も聞いてきました。

私自身が長年マネジメントをやって、その理由は解りました。コントロールしようとするから上手くいかないのです。

さらには自信がある人ほど他人に責任を求めるという理由もあります。

管理職まで出世できる人は、プレイヤーとして成果を出した人です。それゆえプレイヤーとしてのスキルは高く、自分のスキルにも自信があります。

それゆえ「なんでこんなこともできないんだ!」とか「部下が出来が悪いせいで俺が苦労している」という愚痴を何度も聞かされました。そして口を揃えて自分はちゃんと仕事しているのにと言いました。

このようにダメ上司が部下を守らない理由は、次のようになります。

  • 部下をコントロールしようとしている。
  • 自分に自信があるから自分の基準を押し付けてしまう。

できる上司のやり方

できる上司は細かくない

できる上司、すなわち残業せずとも成果を出すことができて、部下からの評価も高い上司は、細かくないです。私はこのような上司で細かい人を見たことがありません。

できる上司は部下に任せます。細かいことは言わないし、細かく進捗報告を求めることもありません。重箱の隅をつつくこともありません。

自分のマネジメント力に自信があるので、仕事を上手く進められる戦略を立てられています。

また部下をコントロールするのではなく、任せるという考え方をしています。それゆえ細かく部下に干渉する必要がないのです。

マグレガーのX理論・Y理論というものがあります。X理論は労働者は怠惰だから厳しく管理監督しなければいけないという考え方です。一方のY理論は、労働者な真面目に働くものだと言う考え方です。

できる上司はマグレガーのY理論の考え方をしています。それゆえ部下を管理すなわちコントロールしようとするのではなく、任せるという考え方をするのです。

できる上司は部下を育てることを投資とする

できる上司は部下の育成を投資と考えています。部下を育てれば、チームのパフォーマンスが上がるので、後で自分が助かると考えているのです。

それゆえにできる上司は教えることに手間をかけますし、自分が教えられることは教えます。

私も自分が教えられることをできるだけ教えるようにしています。マネジメントとは人をコントロールすることではなく、人に頼むことだからです。

部下を育てることが投資になる話を別途書いています。是非読んてみてください。

会社は学校じゃないという意見はあるでしょう。しかしそれ自体どうなのかと考え直した方がいいです。

私の考えでも、マネジメントの論文を読んでいても、人材育成はとても重要です。だから会社は学校のように従業員を育成する仕組みを作るべきです。

〇〇大学や〇〇スクールなどを社内に作っている会社はあります。昔からやっている有名な企業はGEで、クロトンビルというリーダーシップ育成の拠点を持っています。

https://business.nikkei.com/atcl/report/15/010800067/011400004

企業内大学というものを持つ企業も出てきています。なにせ経営コンサル会社が記事を書いているくらいです。

https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/eye/detail13.html

Schooの記事では、実際に導入している企業を紹介しています。

https://schoo.jp/biz/column/1067

マクドナルドはハンバーガー大学という企業内大学を作って、人材育成に取り組んでいます。

詳細なインタビューがDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2024年9月号に掲載されているので、興味があれば読んでみてください。

https://dhbr.diamond.jp/articles/-/10770

できる上司は部下を守る

部下に指示を出すことや決定を行うことは上司の仕事です。言い換えると自分の判断で間違えたら自分のせいなのです。

ダメ上司は自分の判断でも何か上手く行かないことがあれば、部下のせいにして説教をします。しかしできる上司は部下と一緒に上手くやる方法を考えます。

つまりできる上司は部下に責任を押し付けるということをしないのです。できる上司は部下を守ることを考えているからです。

顧客から無理な依頼をされたり、無理な仕事量を押し付けられたりしたら、顧客の言いなりになるのがダメ上司です。しかしできる上司は顧客と調整します。決して部下に無理をさせません。

できる上司は問題が起きたら部下と一緒に考えたり、部下を守ったりするのです。だからこそ部下も安心して仕事に取り組めます。

終わりに

今回はダメ上司の特徴を3つ紹介しました。細かい、部下を育てられない、部下を守らないです。

その後でできる上司はこれらをちゃんとやっていることを解説しました。

残念ながらダメ上司はいるものです。大事なことはちゃんと反面教師にして学ぶことです。愚痴を言っているだけでは何も変わりませんから。

ダメ上司を反面教師にして、できる上司のやり方を参考にして、しっかりと自分を高めていきましょう。

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