すぐ怒るブラック上司はモチベーションを下げる理由を解説
すぐ怒る上司っていますよね?最近は減ってきているかもしれませんが、私の体験ですと、怒る上司が多い会社と少ない(というかほとんどいない)会社があります。
これは最近に限った話ではありません。昔からこんなものです。
そしてマネジメントを学ぶと、怒って言うことを聞かせるのは間違いだと解ります。怒ってやらせる上司はブラック上司であると同時に、マネジメント力がないのです。
私自身が長年に渡ってマネジメントをしてきた経験から、怒る必要性はないと断言します。怒らずとも、むしろ怒らないからこそメンバーは自分から動いてくれるのです。
今回はすぐ怒るようなブラックな上司は、マネジメントに問題があってモチベーションを下げている理由を解説します。そしてマネジメントが上手くてモチベーションが上がる上司のやり方を解説します。
すぐ怒る上司や説教ばかりする上司、怒って言うことを聞かせようとする上司に疑問がある方や、将来マネジメントをやりたい方の参考になれば幸いです。
すぐ怒る上司はブラック上司
すぐ怒る上司はマネジメントのやり方に問題があります。
20世紀は親も先生も上司も怒って言うことを聞かせ、子どもや部下は怒られないように気を付けるものでした。
しかしそんなやり方ではモチベーションは出ません。怒られないように上手く立ち回ろうとし、言われた最低限のことだけをやるようになります。
怒って言うことを聞かせているようでは、やる気などでないのです。あなた自身、怒られていい気分になったとか、怒られてやる気が出たということはありますか?
「悔しいから挽回してやる!」とお超えればモチベーションは出るかもしれません。
しかしやってられないという気持ちの方が強いでしょう。私は怒られたらやってられないと感じますし、ケンカをしてしまいます。
また怒って言うことを聞かせる上司は、立場や権力で部下を従わせているとも言えます。
そういう意味ではパワハラをしていると捉えることもできます。パワハラを日常的にする上司はブラック上司と言えます。
つまり怒って言うことを聞かせる上司はブラック上司なのです。本人は愛の鞭で厳しく教えていると言うかもしれません。誰よりも人を大事にして人を厳しく育てようとしていると言うかもしれません。
私もそういう意見を言う上司や現場責任者を何人も見てきました。しかしその人たちの下に就いていた人たちの中には、精神的に潰れて辞めた人も、不満を感じて辞めた人も沢山いました。
それでもそういう上司や現場責任者は、「根性がないヤツが悪い」と言うばかりでした。ついでに言えば残業もとても多かったです。月80時間くらいは普通で、毎月100時間やらせる管理職もいました。
このような上司はまさしくブラック上司だと私は考えます。
すぐ怒る上司がモチベーションを下げる理由
すぐ怒る上司の特徴から、モチベーションを下げる理由を解説していきます。いずれもマネジメントを学んでいれば当たり前のことです。
つまりすぐ怒る上司は不勉強なのです。
ちなみにすぐ怒る上司など、嫌な上司は反面教師としてとても勉強になります。嫌な人たちですが、教材として活用し、しっかり学びましょう。
説教でモチベーションは上がらないから
説教なんて社会人なら当たり前のようにされるものかもしれません。しかしそれは違います。マネジメントが下手な上司がするのが説教なのです。決して説教は愛の鞭ではありません。
説教に効果がないことはこの記事で詳細に書いています。そういう調査結果があるのです。
あなたは説教されてやる気が出ますか?怒られたくないから、怒られる要因を避けようと思うでしょうけど、それ以上はないでしょう。とても前向きにはなれないですよね。
性悪説かつ否定的な考えが根強いから
すぐ怒る上司は、部下とは怠惰でやる気がなくていい加減なものだという決め付けをしています。
厳しく言いつけないとすぐサボり、すぐにルールを破り、手を抜くと決め付けているのです。そして厳しく言いつけないと同じ間違いを繰り返すと考えているのです。
これは私自身も何度も体験しました。
私にそんな気がなくても、「お前は〇〇に決まっているんだ!」と怒られたり、「どうせ誰もが〇〇するのが当たり前なんだからな!」と怒られたことは数えきれません。
これはマグレガーのX理論・Y理論のうちのX理論に該当します。X理論は労働者とは怠惰なものだから、厳しく管理監督しなければいけないという考え方です。
またすぐ怒る上司のやり方は返報性の法則にも該当します。
性悪説で部下を否定して怒れば、部下は自分を悪者扱いして怒る上司に不満を抱きます。上司が否定的に見てくるから、部下は上司を否定的に見るようになります。
https://www.jinjilab.jp/article/column/a237
すぐ怒る上司は、人を最初から悪者と決めつけているのです。これではモチベーションが下がるだけです。
心理的安全性がないから
心理的安全性とは、誰もが意見を率直に言えて、失敗しても責められず、自分らしくいられる文化のことです。これは職場の文化です。
すぐ怒る上司の職場には心理的安全性がありません。部下は常に怒られないように気を張り詰めていなければいけません。
またちょっとしたミスでもすぐ怒る上司は厳しく説教してきます。だから部下はミスをしないように慎重になる必要があります。
私も細かいミスでも一々1時間くらいの説教をされたことがあります。毎日3時間くらい説教してくる上司もいたものです。ミスをする度に始末書を書かせる現場責任者もいました。
どちらも厳しく言いつけないとミスはなくならないからという理由でした。愛情をもって人を育てるためという言い分なのです。
どう考えてもモチベーションは下がりますし、ほとんど0になってしまいます。
心理的安全性についてはこちらに詳細な記事を書いていますので、参考にしてみてください。
人を活かすより自分の都合を優先しているから
怒って言うことを聞かす上司は、かつて自分もそうやって育ったから当たり前と考えています。確かに現在管理職以上の立場なら、説教が当たり前の世代だったでしょう。
しかし自分も苦労したんだから次の世代も苦労して学べというのは違います。ただの自己満足です。自分がされて嫌だったのなら、次の世代にはしないことが大事です。
これは体育会系がいい例です。先輩からしごかれて育った人は、後輩に対してしごきをやります。しごきは大事だなんて言い張る人もいます。こんなものはただの被害妄想です。
すぐ怒る上司は不勉強ゆえ、知識不足で人を思うように動かせないのです。それを「自分の方が立場が上なんだから言うことを聞けよ!」と怒るわけです。
そんな考え方で人を思うように動かせるわけがありません。人をコントロールするのではなく、動いてもらうのです。
そもそも怒って言うことを聞かせるような上司は、KKD(経験・勘・度胸)の人ですので、勉強などしないため知識がないです。
それゆえ権力や怒りで部下を従わせ、思い通りにならないと部下のせいにして怒るのです。
部下を使えないと言うばかりで育てないから
すぐ怒る上司は、背中を見て学べとか、部下の出来が悪いと文句を言ってばかりです。「できて当たり前だろ!」とか「お前のせいで俺が苦労している!」と怒ることもよくあります。
またこういう愚痴を雑談や飲み会でよく言っているのを目にしましたし、私も愚痴を延々と聞かされたことがありました。
人は勝手には育ちません。ちゃんと教えて育てないといけないのです。背中を見て技を盗めでは解りません。
モチベーションを上げる上司のやり方
次はモチベーションを上げるちゃんとした上司のやり方を解説していきます。簡単に言うとすぐ怒るモチベーションを下げる上司の逆です。
従わせるより信じて任せる
モチベーションを上げる上司は、説教や脅し、権力などで部下に言うことを聞かせることはないです。
むしろ説教もしないですしマイクロマネジメントもしません。基本的には信じて任せるというやり方です。
部下をプロと認めて任せることで、部下も自分は信用されていると感じます。そうしてモチベーションが出るわけです。
ちなみに信じて任せるということについては、大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメントという本に書かれています。
この本によると、「新人だろうが数日しか現場に入らない下請け業者だろうが、プロとして信じて任せるに決まってんだろうが」というのです。
面白い本なので、マネジメントを勉強したい方には是非読んでほしいです。新書なので手軽に読めますよ。
大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント【電子書籍】[ 白鳥 美子 ]
ただし部下の経験やスキルに応じて、サポートの程度は変えます。経験豊富な人なら放任ですし、経験が浅い人ならこまめにサポートします。
怒って言うことを聞かせるのではなく、サポートすると言う点が重要です。
性善説かつ建設的な考えをする
モチベーションを上げる上司は、部下が真面目に仕事をしてくれるという前提で考えます。
これはマグレガーのX理論・Y理論のうちのY理論に該当します。労働者は本来はモチベーションがあるものだから、労働者の主体性に任せればいいという考え方です。
また返報性の法則からも、真面目に仕事をしてくれると信用された部下は、上司をいい人だと感じるようになります。
さらにモチベーションを上げる上司は、部下がミスをしても怒りませんし説教しません。再発防止策を一緒に考えます。部下に対して前向きな考え方をするのです。
モチベーションを上げる上司は勉強をしていて知識があるからこそ、どうすればいいかを知っています。
言い換えると、マネジメントをしていると、どうしたらいいか解らないことが沢山あるからこそ勉強するのです。
KKDに頼ったり、部下のせいにしたりしてはいけません。
心理的安全性がある
モチベーションを上げる上司は心理的安全性を実現します。
部下を信じて、部下の主体性に任せますので、意見も歓迎します。また先ほども書いたように失敗に関しても寛容です。
それゆえ心理的安全性を実現できます。
心理的安全性を実現することで、部下は自分が信用されて任されていると感じることができます。そして主体的に行動するようになり、モチベーションも上がります。
教えることで育てる
モチベーションを上げる上司は部下の育成を投資と考えています。
部下に手間をかけてじっくり教えるには時間がかかります。しかし人は勝手には育たないですし、教えることも上司の仕事です。
そして何より、教えることで部下のスキルが上がれば、活躍してくれることで自分の仕事が減り、楽になることを解っています。
部下に教えることは投資になり、後で返ってくることが解っているので、モチベーションを上げる上司は部下にしっかり教えます。
ちなみにこの考え方を上司ではなく会社がすると、サービスプロフィットチェーンというフレームワークになります。従業員を育て、働きやすい職場を実現すると、従業員満足度が上がるのです。
そして従業員がいい仕事をするようになり、結果的に顧客満足度が上がります。顧客満足度が上がると、顧客生涯価値(LTV)が上がるので、会社の業績も上がるのです。
終わりに
今回はすぐ怒る上司がブラック上司であり、モチベーションを下げる理由を解説しました。そしてモチベーションを上げる上司のやり方についても解説しました。
こうしてみるとマネジメントをする上で心掛けるべきことが見えてきます。勉強して知識を身に付けないと、怒って説教して言うことを聞かせる上司になってしまいます。
マネジメントの道は勉強あるのみです。知識をしっかり身に付け、人を活かせるようになることが大事です。
すぐ怒る上司は反面教師にして、職場の人たちへの接し方を良くして、良い職場作りを行っていきましょう。