【具体例付き】時間管理マトリクスで仕事の優先順位を付けよう
仕事ってやらなければいけないことが沢山ありますよね。そして全てやっていると漏れなく残業も付いてきます。
優先順位を付けて、要らない仕事を取捨選択することで、残業を減らしつつ期限までにしっかりと仕事を終わらせたいものです。
そこで今回は優先順位を付けるために有効な時間管理マトリクスを解説します。その後で架空の社会人3人を使って具体例も解説します。
仕事を効率的に進めたい、残業が多くて悩んでいる、優先順位付けが上手くできないという方に参考にしていただければ幸いです。
最初に参考書籍を挙げてきます。私が持っている書籍の最新版です。長く増刷されているフレークワークの書籍ですが、AI時代になって新版になりました。
最強フレームワーク AI時代の知的生産力が劇的に高まる [ 永田 豊志 ]
時間管理マトリクスとは
タスクを緊急度と重要度で4つに分類
時間管理マトリクスはタスクを緊急度と重要度の高低で4つ分類します。これによりやるべきことと、やってもあまり効果がないこと、無駄なことなどにタスクを分類できます。
緊急度と重要度という2つの観点で見ることで、優先順位を付けやすくなります。
なお緊急度よりも重要度の方が優先順位を決める上で重要です。重要なことはやるべきですが、重要でないということは後回しでもいいからです。
時間管理マトリクスの4つの領域について
第1領域
緊急度も重要度も高いタスクが第1領域に該当します。この領域に分類されたタスクは最優先でやる必要があります。
例えば締め切りが近い仕事やクレーム処理、仕事に必要な機械の修理などです。
第2領域
緊急度は低いけど重要度は高いタスクが第2領域に該当します。今すぐやる必要はないけど、中長期的にはやりたいことです。
例えば人材育成や技術開発、自己研鑽などがあります。
第3領域
重要度は低いけど緊急度が高いタスクが第3領域に該当します。あまりやらなくてもいいのに急いでやることが求められるタスクです。
この領域のタスクはできれば保留した方がよいです。ついついせかされてやってしまうタスクですが、残業時間を増やす原因にもなります。「それは必要な作業なのか?」を落ち着いて考えてみましょう。
第3領域に該当する例としては、重要でない電話や会議、無意味な接待や付き合いでの飲み会などが該当します。
第4領域
緊急度も重要度も低いタスクが第4領域に該当します。これは無駄なタスクと言っていいでしょう。できるだけやらないようにしましょう。
例えば噂話をして暇つぶしすることや、要らないのに仕事してる感を出すために作った仕事、目的なくダラダラとTVやYouTube、SNSなどを見ることが該当します。
第4領域のタスクは浪費ですので、できるだけ避けるようにしましょう。
時間管理マトリクスを使うメリット
TODOリストより優先順位が解りやすい
仕事においてタスクをTODOリストに書いている方は少なくないかもしれません。しかしTODOリストだと緊急度や重要度が解りづらいです。またタスクが増えると管理しきれなくなります。
重要度は優先順位を決める上でとても大事です。重要でない作業に追われてしまっては、時間と労力ばかりかかっている割に成果が出ていないということになりかねません。
やるべきタスクとやらなくていいタスクを明確化しやすいことは時間管理マトリクスのメリットですね。それゆえ優先順位も付けやすくなります。
無駄なタスクを削って残業を削減できる
時間管理マトリクスを使って重要でないと分類したタスクは無駄なものもあるため、削ってしまいましょう。そうすれば残業も減らせます。
なんでもかんでもやっていたら、時間がいくらあっても足りません。だからこそ不要なタスクや無駄なタスクは削れるだけ削りましょう。重要なタスクに専念しましょう。
時間管理マトリクスを使った具体例
時間管理マトリクスを使った具体例を解説します。ここでは架空の社会人を3人登場させます。
資格試験の勉強を頑張るAさんの例
Aさんの現在の状況
Aさんは資格試験に挑んでいます。
勉強時間を確保するため、毎日6時に起きて1時間勉強しています。そして8時には家を出て、通勤電車でも資格試験のテキストを読んで勉強しています。帰宅後も夕食が落ち着いたら1時間勉強するようにしています。
以上は平日の話で、休日は4時間の勉強時間を確保しています。
資格の勉強に専念しているうちに、マンガの積読が増えてきました。たまには旅行にも行きたいと思うようになってきました。
また勉強ばかりの生活で運動不足になり、ストレス食いも増えてきたため、お腹が出てきました。試験に合格できたらジムに通ってダイエットしたいところです。
それから勉強優先で友達ともあまり会えていません。たまには飲みに行きたいのですが、合格までは我慢が必要だと考えています。
修行の如く試験勉強に挑むAさんですが、現実は甘くありません。会社では突発的な作業が発生することは勿論あります。自分の仕事とはあまり関係ないのに、情報共有のために会議に召集されることもあります。
すると自分の仕事が進まなくなりますので、残業が必要になります。残業すると帰宅時間も遅くなるので、勉強時間を確保できなくなります。できるだけ残業せずに帰って勉強時間を確保したいところです。
また最近は試験勉強に疲れてきたのか、ダラダラとYouTubeを見たり、ダラダラとSNSを見たりすることが増えてきました。
これらすべてのタスクを、Aさんが望むものも望まずにやらされる、あるいはやってしまうものも含めて、時間管理マトリクスで整理してみましょう。
緊急度高 | 緊急度低 | |
---|---|---|
重要度高 | 第1領域 早朝1時間の勉強 通勤電車での勉強 夜1時間の勉強 休日4時間の勉強 ストレス解消になること | 第2領域 マンガの積読の解消 旅行 ダイエットのためのジム通い 友達との飲み会 |
重要度低 | 第3領域 突発的な作業 自分の仕事と関係ない会議 | 第4領域 YouTube SNS |
Aさんの時間管理マトリクスの解説
Aさんの場合は勉強とストレス解消が緊急度も重要度も高いので第1領域です。第2領域は資格試験が終わったらやりたいことです。
第3領域は不要な残業を増やす余計な作業や会議です。こういうものに苦しめられている方は少なくないかもしれませんね。
第4領域はダラダラ見てしまうYouTubeやSNSです。人は疲労やストレスが原因でダラダラできることをしたくなるものですので、ストレス解消をしてこういう無駄を減らす必要がありますね。
プロジェクトリーダーのBさんの例
Bさんの現在の状況
Bさんは今回のプロジェクトからリーダーになりました。小さいながらも自分のプロジェクトを与えられ、責任者としてプロジェクト全体をマネジメントする機会を得ました。
しかし思っていたよりもやることが多いと感じています。
プロジェクトのスタート時に作った計画にはない作業が、次々に湧いてくるのです。顧客と打ち合わせをする度に宿題としてやることが発生しますし、メンバーが作業中に想定外の問題が発生したりします。
また顧客と電話やメールでやり取りすることもよくあるのですが、そこでも調べものなどが発生します。
こうして進捗も段々遅れ始め、上司が心配してこまめな状況確認を求めるようになってきました。上司は気になることがある度に打ち合わせを入れてきますし、対面で話しかけてくることも多いです。Bさんは週1~2回くらい上司と話しています。
Bさんはため息が増え、スケジュール表とにらめっこしてはどうしようかとか、納期に間に合うかどうかと悩むことが増えました。
またスケジュールが遅れ始めたことで、Bさんもメンバーも残業が増えてきました。残業が増えて疲労やストレスが溜まり始めたのか、Bさんもメンバーも雑談が増えました。
このプロジェクトが始まった当初、Bさんはマネジメントの本を何冊か買い込んでいました。真面目に勉強してマネジメントができるようになりたいと思ったものです。しかしもはやそんな余裕もなく、帰宅後はグッタリしてすぐに寝てしまいます。
Bさんの仕事とやりたいことを時間管理マトリクスで整理してみましょう。
緊急度高 | 緊急度低 | |
---|---|---|
重要度高 | 第1領域 スケジュール表に載っている作業 顧客との打ち合わせでの宿題 顧客から依頼される調べもの メンバーが抱えている問題 | 第2領域 マネジメントの勉強 |
重要度低 | 第3領域 上司のこまめな状況確認 | 第4領域 ついついしてしまう雑談 スケジュール表とのにらめっこ |
Bさんの時間管理マトリクスの解説
Bさんの場合、スケジュール表に載っている作業や顧客から依頼された作業、メンバーが抱えている問題などが第1領域に該当します。
顧客との打ち合わせで発生した宿題や、顧客との電話やメールで依頼された調べものは、急いで対応した方がいいでしょう。ただし今すぐ解らなくてもいいことは先延ばしにしてもいいです。
第2領域はマネジメントの勉強が該当します。
第3領域は上司のこまめな確認です。これを例えば週次で進捗を送るとか、週次で状況確認の質問表を送ってもらうなどにして、いちいちこまめな報告の場を設けなくていいようにした方がいいでしょう。
第4領域は雑談やスケジュール表とのにらめっこです。私もプロジェクトマネジメントを始めたばかりの頃は、心配でスケジュール表とのにらめっこしたものです。
しかし悩みすぎず、まず誰かに話を聞いてみるとか、作業を進めていくなどした方がいいです。作業が片付いてくれば安心できますので。
残業が多い古い体質の会社に勤めるCさんの例
Cさんの現在の状況
Cさんはいわゆる昭和な文化の会社に勤めています。残業は多く、KKD(勘と経験と度胸)がまかり通っている会社です。
上司から突如、今日が期限の仕事を振られることもよくあります。しかし今日中でなくてもいい仕事ばかりです。
また会社の飲み会も頻繁に、それこそ毎週のように開催されています。しかも当日突然誘われることもあります。
しかし話題はいつも仕事や会社の愚痴ばかりです。愚痴以外の話題と言えば、残業時間の長さの自慢です。残業が多ければ多いほど偉いという考えなのです。
またCさんの会社は会議も多いです。部署が同じだから情報共有のためという理由で、1日の半分くらいは会議に参加させられることもあります。
更には体質が古くてKKDな会社のため、ミスをする度に上司から1時間くらい延々と説教をされます。
残業が多くて誰もが慢性的に疲れているためか、仕事中に雑談は多く、30分くらい雑談が続くこともあります。Cさんが仕事を進めたいと思っても、同僚が話しかけてきて30分くらいの雑談になることがよくあります。
要らない会議に長時間の説教や頻繁な雑談で、仕事が全然進みません。それでいて残業すればするほど偉いという文化なので、改善されることも期待できません。
新人~若手の頃は社会人とはこういうものだとCさんも割り切っていました。しかしネット上に情報が溢れるようになって、どうも自分の会社が古臭いようだと感じるようになりました。
Cさんは最近は転職のための情報収集や、社外コミュニティ探しをしています。今風の会社で働いてみたいですし、愚痴と残業自慢の集団ではない人たちと話してみたいのです。
昭和な文化の会社は同僚と同じ釜の飯を食うという意識が強いため、社外の人と交流を持つことを嫌います。説教されることもあります。しかし学生時代の同級生など社外の友達との交流も大事にしたいです。残業が多くて中々できていないのですが。
Cさんがやらなければいけないこととやりたいことを時間管理マトリクスで整理してみましょう。
緊急度高 | 緊急度低 | |
---|---|---|
重要度高 | 第1領域 期限が近い仕事 | 第2領域 転職のための情報収集 友達との交流 社外コミュニティ探し |
重要度低 | 第3領域 突発的に振られる今日が期限の仕事 当日誘われる愚痴と残業自慢しかない飲み会 情報共有のためだけに参加させられる会議 | 第4領域 長時間の説教 30分は続く雑談 毎週ある愚痴と残業自慢しかない飲み会 |
Cさんの時間管理マトリクスの解説
Cさんの例は極端ですが、私もこういう会社に入ってしまったことが何度かありましたし、日本にはこういう会社が少なくないのが現実でしょう。むしろ20世紀はこういう会社がスタンダードでした。
第1領域は期限が近い仕事にしました。こういう古い体質の会社では仕事量が多いので、まずは期限が近い仕事からやっていきましょう。
第2領域は転職のための情報収集や友達との交流、社外コミュニティ探しとしました。最近Bさんが気にしていることですが、すぐに何とかなる話でもないため、時間に余裕があったらやることでいいでしょう。
第3領域は突発的な作業や当日誘われる飲み会、情報共有のための会議です。こういうのも会社によっては多いのでしょう。仕事も飲み会も突然言われても困ります。会議だって情報共有だけが目的なら資料を渡しておくでいいでしょう。
第4領域は長時間の説教や雑談、愚痴と残業自慢しかない飲み会です。私もこういうことが常習的な会社に入ってしまったことがありました。これらは本当に無駄です。本人たちは気付いていないから尚更怖いですね。
ちなみに説教は無駄だという記事を書いていますので、気になったら読んでみてください。
終わりに
今回は時間管理マトリクスを解説し、架空の3人の社会人を題材にして具体例を書いてみました。
4つのどこに当てはまるのか悩ましいこともありますが、時間管理マトリクスを使えば優先して取り組むことが解りやすいです。
もしあなたがやることが多い、あるいはやらなくていいことが多いと感じているのなら、時間管理マトリクスで整理してみてはいかがでしょうか?今回解説したように、解りやすく分類できます。